第3話 図書館の過去・現在…


   「現在」館のコンセプトは、

「発展、爛熟、変貌していく現代社会ー文明のグランドクロス」だった。

国会図書館を模したスタイルで、あらゆるジャンル、種類の出版物を網羅して、

稀覯本や貴重な資料も手に入る限りに収集して、現代社会の複雑多岐にわたる実体を出版物や書籍という側面から浮き彫りにできる仕様に設計されていた。

現代の図書館一般の標準装備の、WEBやIT機器を利用した検索技術、

CD、DVDの視聴可能な設備、最先端のそうした機能は可能な限りに

アップデートされて、来館者が目を瞠るほどに充実した「現代の最高水準の

図書館とはこういうものだ」というイメージをリアルタイムに可視化し続けている、そういう趣のインテリジェントなインスティチューションに出来上がっていた。

 1時間もここでラインナップされたいろいろな本やソフト、展示物から送られる百花繚乱なメッセージに浸っていると、来館者は「現代」という時代、現代文明や現代社会の実態やこれまでの成果、これからの課題、人類は何を学び何を成し遂げ、そうしてこれから何をどうしていくべきか?そうした問題意識、知識、地球市民としての責務、そうした総合的な知性がきわめて能率的に研磨、涵養のよろしきを得て、万人等しくホモサピエンスたる自らの存在や、その使命、誇りを書物やメディアを通じて再確認できる、そういう「知の殿堂」たるべく鋭敏で怜悧なデザイニングが現代の最善の知のエキスパートたちによってなされている…

 それが「図書館『夢』」の「現在」館だった。



<続>

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