第4話 そして未来
「図書館『夢』」の未来館、そのコンセプトは「未来ーそれはあなただけの
夢のユートピア」、だった。この未来館こそが古今東西どこにも例を見ない、ユニークなアイデアでデザインされた先端的なパヴィリオンであり、文字通りの「図書館の夢の未来」像をハイテクや先進的な学問、科学の知見を応用して実験的に、寧ろ挑戦的なほど前衛的にプロデュースされていたのである。
「歴史や文明はもうデッドエンド」そうした悲観的な風潮はここでは忌むべきタブーだ。
人類の叡知というものの可能性をとことん信じる、例えばかつての大阪万博の
中心テーマにかなり近いオポチュニズム、それが兼木禰瑠氏の真骨頂で、その個性がこの未来館に色濃く反映されていたのだ。
開館の日までその内実は全く極秘にされていて、誰もうかがい知ることは叶わなかった。館長とスタッフたちの口からは「前代未聞」とか、「空前絶後で、誰もが驚嘆する」そういう漠然とした惹句が聞かれるだけだった。
つまり、どういうことか?9時の開館とともに神秘のベールがはがれた!
なんと!この未来館に入館できる人は一日一人限定。何百人押し寄せようとそれは変わらない。
抽選で一人だけが選出されて、爾後、図書館の「館友」とされる。
図書館の知名度が上がり、その入館資格を得たことの価値が認識されていけば、この、館友」という称号の名誉性や希少価値もどんどんネームバリューを上げて、相互的にステータスがグレードアップしていくという仕掛けだった。
と言っても、まだよくわからないだろう。
ここは、「人間の潜在能力をとことん開発させる図書館」だったのだ!
<続>
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