第4話 出会い

―――高校二年の春。

 

 

「ねえ!アタシたちとバンドしない?!」

 放課後、いつも通り帰ろうとした私を引き留めたのは、隣のクラスの女子だった。バンドマンらしくはない、黒髪の長いツインテールがゆらりと揺れている。


「えっと……あなたは?」

「私はイチゴ!ねえ、あなたギター弾けるんだよね??私たちのバンドに入ってほしいの!」

「え、弾けるけど…急に何なの…?」

 イチゴと名乗った女子は、目を輝かせながら私に迫る。天真爛漫、といった感じだろうか。

 周りの友人には話していないが、私はたまに路上ライブをしたり、弾き語りの動画をネットに載せたりしている。すごい人気があるわけでもないのに、話したこともない隣のクラスの生徒に知られていたことに驚きを隠せなかった。



「こーらイチゴ。いきなりそんなこと言われても困るでしょうが。」

 イチゴの迫力に圧倒されていて気付かなかったが、後ろに立っていた女子生徒が口を開いた。机に身を乗り出すイチゴの肩を掴み、自分の方へと引く。


「えへへ~ごめんねチョコちゃん!」

「ほんとうに、アンタは思い立ったら後先考えずにに動いちゃうんだから…」

チョコと呼ばれたその人物は、同じく隣のクラスの女子だった。イチゴに比べ大人びていて、ふわっとした茶色のロングヘア―がとても似合っていた。



「いきなりごめんね、ゆっくり話したいから、ちょっとこの後時間くれるかな?」

「別にいいけど…」

「やったね!じゃあ、駅前のファミレスに行こ―!!」

 イチゴは嬉しそうに私の手を握り、教室の外へと引っ張られた。やれやれ、といったように、チョコは二人の後を追った。

 

 これが、のちのバンドのリーダーイチゴと、チョコとの出会いだった。

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あなたに贈る唄があるんだ。 ハモ太郎 @hamohamo_1130

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