あとがき
第50話
このたびは、『予知夢(後編)』をお読みいただきまして、ありがとうございました。
もともと『予知夢』は前編のみでした。続編を書くに到った経緯は、前編あとがきに書いたとおりです。
戸惑いながらも書くことを決めた続編ですが、まったく書く予定がなかったのでストーリーは一切考えておらず、前編で唯一名前が出た『中川』を主人公に――とだけ決めて書き始めました。
最初はただ単に「桜の木になった玲を捜す」ことしか考えていませんでした。しかし、彼女が見た夢を中川に見せていくうちに、どんどん話が膨らんでこのようなストーリーになってしまいました。
先を考えずに書き続け、なんとか完結までこぎつけたのですが、今度は終わりに『?』という声が多数寄せられました。
私としては、序盤の伏線らしきものを最後の章で解決していたつもりですが、とても分かりにくかったようです。すみませんでした。
というわけで、ここからは最後の章の説明です。
ネタバレですので、これから本編をお読みいただくご予定の方はお控えくださいませ(笑)
↓
全ては玲の姪――彼女の姉の子供たち姉妹の妹(幼稚園児)のしわざです。
玲の父親は、見た夢が現実となる「予知夢」の能力を有し、玲はその力プラス「人の気持ちが分かってしまう」能力も持っていました。
後編序盤の母親の話にあるように、遺伝というのはその力を増していくのかもしれません。父から娘、そして――孫へ。
この子は「○○の夢が見たい」と思えば、それを見ることができました。さらに、その夢を現実に引き起こしてしまうのです。
さて、ではなぜこの子がこのような夢を見てしまったのか。
ここが一番分からないと言われる方が多かったようですが、「黒いランドセル」のせいなのです。
この子の姉は、叔母――主人公の玲に冗談で勧められた黒いランドセルを購入しました。
それはもちろん、黒いランドセル自体を気に入ったこともありますが、なにより大好きな叔母に勧められたことが決め手となりました。
そしてこの妹は、絶対に黒のランドセルなんかを背負いたくはないのです。
しかし、いくら能力があってもそこは幼稚園児。叔母がいる限り自分も黒いランドセルを買わされると思い込んでしまうのです。
そこで、最終章の言葉です。以下に引用しますが
≪その間だけ消えてくれれば……
でも――あんまり時間ないし
あと一年ちょっと……≫
と、なるわけです。
今年五歳の子が小学校に入学するまであと二年。ランドセルを選ぶ時期までは、あと一年とちょっとなんですね。
このランドセルを選ぶ時期だけ、余計なことを言う叔母がいなければ、それでいいのです。
ですから殺す必要もなく、桜の木となって眠っててくれればそれでよかったのです。
しかし、玲はそれに甘んじなかった。そこで、第二の手として続編の夢を見ることにしました。
全てが解決し、中川と一緒に玲が九州に行くと思っていたら、二人は恋人同士ではなかったため(淡い想いはお互い抱いているようですが)中川は一人故郷の九州へ帰り、玲は元の生活に戻ってしまいました。さすがに、彼女の能力を持ってしても事実を曲げることだけはできなかったようです。
以上が真相です。長々とすみません。
でもこの子、まだ諦めてないようですよ。次は、玲がひそかに憧れていた隣のお兄ちゃんを利用するとか。
はてさて、今宵はどんな夢を見るのでしょうか。
もしかしたら、あなたも桜の木の下に立たされているかも……。
――というようなあとがきを、ネット小説掲載時に書きました。
そしてその後、「こんな説明見たくなかった」という声を、またしてもいただきました……とほほ。
というわけで、いつの日か完結篇を書いてみたいと思っております。
いよいよ、もう、とにかく、なにを言われようとも、これで最後にいたします!
続編の最後に納得のいかなかったあなたのために――と言いつつ、これまた続きを書く予定ではなかったので、なんにも考えておりません。
とにかく、桜の木になる手順は誰の思惑だったのか、はたまたお嬢ちゃんは実は地球外生物だったのか(!)どこか別の着地点を探りつつ、私が一番初めに書いたお話をキッチリと閉じたいと思います。
まだまだずいぶんと先になりそうですが、気長にお付き合いいただけると嬉しく思います。
予知夢(後編) 淋漓堂 @linrido
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