夢のはじまり……

第49話

「早く起きなさい。遅れちゃうわよ」

 一階から大きな声が聞こえる。


 ……うるさいな

 長い夢を見て疲れてるんだから、もう少し寝かせてくれてもいいのに


「はぁーい」


 それにしても、失敗しちゃったな

 だって、会ったこともないおじいちゃんの年なんか知らないし


「起きたの?」


 ちょうどいいと思ったんだけどな

 あのお兄ちゃんも予知夢見るって知って、うまく使えると思ったのに……


「起きたよー!」


 コイビトじゃないなんて

 いくら私が好きなお話の夢を見ることができて、それを現実にする力があっても、そこ間違っちゃったらダメだよね

 次は……どうしようかな

 事故とかじゃおもしろくないしな

 その間だけ消えてくれれば……

 殺すのも面倒だし

 死体見たくないんだよね

 でも――あんまり時間ないし

 あと一年ちょっと……


「急がないと時間ないわよ」


 ――まったく、ママのことまで嫌いになりそう

 やっぱり姉妹だから?

 早く消えてくれないかな……おばちゃん


「幼稚園お休みするの?」


 私はお姉ちゃんみたいな黒のランドセル、絶対イヤなんだから!


 次は、あの隣のお兄ちゃん……使ってみようかな



(完)

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