ソルディオ先生とデート!
「エエエ、エルラルぅうううう!!!」
「何よ騒がしいわね」
朝一から大騒ぎするニャアに、冷ややかにゃ視線を向けるエルラル。エルラルの塩対応は想定内だけど、ニャアの話を聞けば驚いてくれるはず……!
「ソルディオ先生にデート誘われたにゃ!」
「は?」
「ソルディオ先生に、デートに誘われたにゃ!」
「……寝言は寝てから言ったら?」
想像の十倍塩対応だった。
*
ことの発端はニャロルチョコだった。
生徒からの貢物は食べ物に限り受け取るというルールのある先生に、ニャアは毎日一粒ニャロルチョコ (90円)を貢いでいた。
周りの生徒がシャトーブリアンやフォアグラや燕の巣などを送っている中でのニャロルチョコ。ビバ☆リーズニャブル!
そしてこんにゃニャロルチョコを毎日のように送り続けたある日、
「……マオ、次の日曜は暇か?」
「にゃんだって?」
ソルディオ先生に休日の予定を聞かれてニャアは自分の耳を疑った。にゃんでも、ニャアがあげたニャロルチョコの包み紙が『スイーツヘヴン』の食べ放題ペアチケットに当たっていたとか。神かにゃ?
「誘う相手がニャアで良いんですか?」
「お前のくれたチョコが当てたんだ……お前を誘うのが妥当だろう」
「喜んでお供しますにゃ!」
そこに特別にゃ感情がにゃくたって構わにゃい。ニャアはただ、先生と二人きりで外出という一大イベントを心から喜んだ。
*
「という流れにゃの!」
「へぇ、それはラッキーね。楽しんでらっしゃい」
と、エルラルに祝福された四日前。
「ねえ、エルラル! 服装とかどうしよう!? 制服は流石にヤバいかにゃ!?」
「えぇ? せっかくなんだから私服にしなさいよ」
着ていく服の相談に乗ってもらった三日前。
「てかニャアが先生の横に並んだら、どんにゃ目で見られるかにゃ!? あのイケてる長身イケメンの横に変にゃのがいるって思われにゃいかにゃ!?」
「心配しすぎよ、堂々としたら? というか、アンタにもそんな女々しいとこあったのね」
色々心配しすぎて呆れられた二日前。
「あああ、明日にゃ……明日にゃ! 心臓が口から飛び出そう……ねぇ、エルラル! ニャアの心臓収まってるかに!?」
「ああっ、もう! 聞き飽きたわよっ!!」
騒ぎすぎて怒られた一日前。
そして……
「……待たせたか?」
「時間通りですにゃ! ただニャアがちょっと早く来過ぎただけです! あ、これ今日のニャロルチョコ」
「ありがとう。お前も律儀だな……」
待ちに待った当日がやって来た。
*
「ねぇ、あそこの人かっこよくない? もしかして芸能人?」
「背も高いしモデルかも! 私ちょータイプ!」
「え、私も! どうする? 声かけちゃう?」
休日で混み合っているスイーツヘヴン前。ソルディオ先生と入場待ちの列に並んでいると、あちこちからきゃあきゃあ言う女の子たちの声が聞こえてきた。
二日前にニャアが変にゃ目で見られるんじゃにゃいかって心配はただの思い上がりで、真のイケメンは隣の人物ににゃんて目が行かにゃいほど視線を奪うんだ……!
くっ、ソルディオ先生恐るべし!
「どうした、マオ……落ち着きがないな」
「いや、その、先生はやっぱりモテるにゃ〜って」
「ん? まあそうだが……」
謙遜もせずに肯定しちゃうところ流石です!
「悪意のある視線はないから安心して良いぞ」
「そういう問題じゃにゃいんですよにゃ〜」
「……ふむ」
ソルディオ先生が視線を集めてしまって気が気じゃにゃいのに、当の本人はどこ吹く風。
先日先生のご友人であるアーサーさんにリークされた、付き合っても長続きしない件の一端を知った気がするにゃ。
「あの、すみません!」
ソルディオ先生の態度にほんのちょっぴり呆れていると、近くで見ていた女の子の二人組が勇気を出して話しかけてきた。意外にもその子は清楚系の女の子で、白いワンピースが似合っていて可愛い。
「も、もしかして芸能人の方ですか!」
「……ん?」
「その、もし良ければ、写真を……」
「悪いな、今日はオフなんだ」
そう言いながら先生は、ニャアを抱き寄せて……って、ぎゃああああああああ!! ちちちち、近いにゃ! 香水の良い匂いがあばばばばばば……
「す、すみませんでした!」
テンパるニャアとはよそに、初めてニャアに気づいた様子の女の子たちが一言謝ると、慌てて走り去る。
さっきまでざわついていた周囲も、今のやりとりを見たのか、落ち着きを取り戻しつつあった。
「先生、今ニャアを弾除けに使いましたね?」
ジッと睨ねめ付けるように先生を見上げる。
「……バレたか」
「悪い男ですにゃ!!」
「だが、光栄だろ?」
「酷い男ですにゃーーー!?」
悪びれもしにゃいにゃんて、とんだプレイボーイだにゃ! でもそこも好き! 悔しい!!
「お前なら慣れているかと思ってな」
「ニャアをにゃんだと思っているんですか!?」
「……可愛い生徒?」
「疑問系!!」
ずっと置いててくれても良かったのに、ソルディオ先生はそっとニャアの肩を離した。二度目があるかも分からにゃいのに、良い雰囲気にできにゃかったのは惜しかったかも!
「そろそろ入れそうだぞ」
「はーい」
そうこうしている内に順番が回ってきて、ついにお楽しみのスイーツバインキングタイム!
「沢山食べてやるにゃ〜!!」
意気揚々とニャアたちはメルヘンにゃ内装のスイーツヘヴンに入って行く。
このあとソルディオ先生が店内のスイーツを食べ尽くし、出禁にされるのはまた別のお話。
【番外編】にゃんにゃん☆メモリアル【短編集】 ピギョの人 @LuinaRajina
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