焚き火
ニコ
焚き火
私は焚き火をよくする。焚き火といってもちゃんとした焚き火ではなく、円く平たい蝋燭に、短く折った割りばしを三本ピラミッド型刺し、真ん中にまっすぐ一本の割りばしを刺して、その先端に火を灯すものを焚き火と言っている。
か細い火が、ちろちろと燃えるのはとても儚く、今日起こった嫌なことを忘れさせてくれる。ましてや、酒やたばこの苦手な私にとって、この焚き火は唯一の生きがいといってもいい。しかし、最近一つ不思議なことが起きた。
ある日、友人が体調を崩していた私のお見舞いに来たことがある。私は友人が来る前に軽く掃除を済ませ、出迎える準備ができたので友人が来るまでの間焚火をした。丁度焚き火が終わりかけの頃に友人が来たので、焚き火をしたまま出迎えた。家に入るなり友人は、何かが燃えているにおいがする。と顔をしかめたまま机の上に置いていた焚き火を見つけて火を吹き消した。
何してるんだ?と友人に尋ねられたので、焚き火をしている。と答えたところ
「こんなのは焚き火じゃないし、二本の柱でも立つだろう。」と笑いながら言って二本の割りばしで立てて見せたあと取り除いた二本の柱を捨てた。確かに焚き火ではないね、と自分も笑っていたが、少しモヤモヤとしていた。
しばらくして友人が帰った後、途中で消されて二本だけになった焚き火に火をつけて楽しんだ。しかし、しばらくすると蝋が溶け二本の柱は倒れた。その柱はもう柱とは言えないほど短くなってしまい、点の様に小さくかわいくなっていた。しばらく余韻に浸った後、寝間着に着替えて今日起こったニュースをみた。
その時、真っ先に目に飛び込んできたニュースがあった。一軒家で起きた火事のニュースだ。同居人によると、一人との連絡が取れていないらしい。あまり気持ちの良いニュースではなかったので、後悔しながら眠りについた。
翌朝、昨晩のニュースが気になり調べたところ、お見舞いに来てくれた友人が焼死体で発見されたと出てきて驚いた。その後すぐに葬式が行われた。葬式から帰った後私は焚き火をした。焚き火の終わりかけ水を飲むために少し目を離した時、不思議なことが起こった。いつの間にか焚き火の柱が二本増えていたのだ。私は疲れているんだと思い、終わりかけだったが火を消し、ごみ箱のごみを集めた後寝た。翌朝焚き火を見てみると、いつもの本数だった。ごみを収取場所に持っていき、帰ってきてふとごみ箱を見ると二つの黒い点のようなものがあった。
その時以来不思議なことは起きていないが、火の取り扱いには気を付けている。
焚き火 ニコ @NicoNicokusunoki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます