☞【第2話】:~《弁明と和解》~

 まだまだ続きます。


 ヤンデレ定期。


          *


 ……現在いま


 俺ことアストは、


 断罪だんざい監獄かんごくという名の、


 マナの私室の中央ちゅうおうで、


 カチコチに固まりながら、


 正座せいざを、


 …………しています。


 ──え?


 なぜかって?


 ハハッ、


 それはな、


 我が義妹マナに女の子を連れているところを見つかってしまったからさ。


 ──……なぜに女子といたらダメなんだよ……。


 ったく。


 そのせいでボラ村の中でも友人が男しかいないし。


 ──しかもっ!


 くだんの友人達からは本気でホモかとうたがわれる始末しまつ……。


 もちろん、


 断固否定だんこひていしたが。


 不憫ふびんだぁ……。


 我が義妹、


 ──マナが、


 その美貌びぼうで『ニコリ』と微笑ほほえみながらゆったりとした動作で口を開く。


 ──こ、


 コエぇぇ……!


 あ、


 汗が……っ、


 変な汗が出てくる……っ!!



 「うふっ♪

 にぃにぃ……。

 べ・ん・め・い、

 は……?」


 「……え?

 い、

 いやっ、

 その────」


 「──むぅ?

 なんであすとはおこられているのだー?」


 「お、

 お前はだまってろっつってんだろ!?」


 「──むぐぅ!?

 むぅう~ (はなすのだ)~!!」


 「…………ウフ♪」


 「ヒィ……ッ!?」



 俺が恐怖きょうふからどもっていると、


 またしてもとなりに座るマルシアが余計なことをしゃべり出したので、


 咄嗟とっさ高速こうそくで口をふさぐ。


 それを見たマナが先程さきほどの笑みの数倍は深く、


 あやしいみをかべた。


 ──な、


 なぜに!?


  怖すぎる……っ!!



 「ち、

 違うんだマナ!

 こ、

 コイツは女の子であって女の子ではないというか、

 その──」


 「──どっちにせよ、

 女の子と会話をして家へ連れ込んでとなりで座り合ってたがいに至近距離しきんきょりで呼吸をして同じ場所にいて同じ食事をして──」

 


 コチラを闇より深きひとみで見つめながら、


 「兄にぃが悪い兄にぃが悪い兄にぃが──……」と延々と呪言じゅごんのようにぶつぶつと言葉をかさねてゆくマナ。


 ま、


 またこれだ……。


 この状態じょうたいになると、


 当分とうぶんは止まらない。


 すでに経験済みなのである。


 なので、


 兄である俺が自発的じはつてきに止めにかかる。



 「ご、

 ごめん!

 ごめんてばっ!

 なんであやまってるのかわからないけどごめんっ!!

 とりあえず、

 なっ!?」


 「…………ふぇ?

 にぃ

 にぃ……?」



 俺はその場で立ち上がり、


 マナのそばに近づいてあやまりながら肩をすると、


 くらかったひとみが光を取り戻す。


 ──よかった……。

 


 「ま、

 まずは落ち着いてくれ、

 な?

 コイツ、

 ──マルシアは幼女だぞ?

 別に気にすることは何一つないだろ?」


 「んぅ………………。

 わかった。

 私も、

 いきなりこんな態度たいどとって……、

 ごめん」



 俺がゆっくり言い聞かせるように説得すると、


 マナは少しうつむきながらも素直に反省はんせいしめした。



 ──だがしかし、




 「あやまるならマルシアに、

 だぞ?」


 「……うん。

 ──あの、

 いきなりその……、

 ごめんね? 

 えっと、

 たしか、

 ────マルシア、

 ちゃん?」


 「ふふんっ、

 はそんなことで気にすることはないのだー!」



 マルシアの方になおり、


 先程とは打って変わって真摯しんし謝罪しゃざいするマナ。


 ──こういうところはしっかりとしてるんだよなぁ……。


 俺はいつの間にかとなりに立っているマルシアを前に連れてくると、


 あらためて自己紹介させる。



 「──ほい。

 あらためてだが、

 この女の子 (?) がマルシアドワーズだ」


 「ふふんっ、

 がまるしあどわーずなのだ!

  ″まるしあ″ って呼んで欲しいのだ!

  よろしくなのだー!」


 「うん、

 私はにぃにぃの義妹いもうとのマナって言うんだ。

 此方こちらこそ、

 これからよろしくね。

 ──ところでさ、

 にぃにぃ。

 |なんでこの子はウチにいるの?」


 「あぁ、

 それは──」


 たがいに自己紹介が終わり、


 マルシアが横にうつると同時にマナが当然の疑問をぶつけてきたので、


 先程さきほどと同じ説明を端的たんてきにする。



 「──ってことなんだ。

 だから、

 マナもマルシアコイツと仲良くしてくれると嬉しい

 「──のだー!」

 ……おい」



 マルシアが話の途中とちゅうで割り込んできたので、


 お仕置しおきとして頭をグリグリする。



 「お~ま~え~は~っ!

 まったく、

 何度言えば

 「──い、

 痛い、

 痛いのだー!

 やめるのだー!」

 ……ったく」



 俺はマルシアから手をはなしてマナの方を見やると、


 あごへ手をえて、なにやら「う~ん」とうなっている。


 どうやらコチラのやりとりには気づいていないようだ。


 あっぶねぇ……。


 顔を上げたマナが、


 視線しせんをマルシアに固定しながらいかけてくる。

 


 「──うん、

 そういうことなら別にイイんだけど……。

 マルシアちゃんの今後こんごは、

 その……、

 どうするの?」



 されたくない質問を問われ、


 どうにかこうにかにごそうとした、


 その矢先やさき


 ────ふと、


 あることに気づく。



 「それはまぁ、

 後々のちのち決めるってことで……。

 ──ん?

  それよりマナ、

 お前、

 学校の時間、

 ヤバくね?」




          *



 時系列が我ながら可笑おかしい。


 マルシアは我慢することがとっても苦手です。


 ちなみに主人公のアスト君はこれからもツッコミ役として活躍する予定です。


 なので、


 理不尽なことをされるのは日常茶飯事です。


 強く、


 生きろよ……。


 最後まで読んで下さり、


 感謝します。

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星剣使いにして天剣の王~岩から剣引っこ抜いたら始まる冒険譚~ 田仲らんが @garakota

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