◆【第1章】◆:────〔ブリテラ帝国・南方辺境・ボラ村〕────

☞【第1話】:~《幼馴染み・義妹・ヤンデレ(?)》~

 まだまだ続きます。


 今回、

 

 なっがいです。


 申し訳ない。


 あぁ、


 海に行きたい……。


  (全身アトピーで泳げないけど 泣)



          *



 ──〈ボラ村〉。


 それは、


 大陸最大最強たいりくさいだいさいきょうの大国家である〈ブリテラ帝国〉。


 その最南端さいなんたんに位置する、


 所謂いわゆる小村しょうそんである。


 人口はやく一〇〇人ほど。


 海に面しているので、


 住民達は主に漁業ぎょぎょう生業なりわいとしている。


 俺ことアストは、


 そこでとある漁師一家りょうしいっか養子ようしとして暮らさせてもらっている。


 両親は元々もともと


 らしい。


 ようするに、


 孤児こじとしてひろわれたワケだ。


 今の両親には義子ぎしなのにもかかわらず、


 とてもよくしてもらっており、


 感謝してもしきれないほどだ。


 ……結局けっきょく


 何が言いたいのかというと────



 「──お前、

 マジで来んのか……?」


 「ふふんっ、

 もっちろんなのだーっ!」



 となりをルンルン、


 トコトコと歩く、


 カワイらしい幼女、


 ──マルシアドワーズが、


 うちに来ると言って聞かないのだ。


 まったもっ傍迷惑はためいわくなことにっ!


 極論きょくろんだが、


 居候いそうろうである俺の気持ちを考えろよっ! 


 さっせッ!!


 たいするマルシアドワーズ、


 ──もう面倒めんどうだからマルシアでいや、


 ──マルシアは、


 満面まんめんの笑みで鼻歌はなうたを歌いながらスキップをしている。


 ……は、


 ははっ、


 暢気のんきで良いよなァお前は!


 こっちは現状げんじょうをどうにかしようと必死なのによぉ!!


 ──……(まぁ、


 俺がマルシアを岩から抜いた責任せきにん(?) もあるし、


 |できることならウチめてやりたいが……。


 俺はくまで義子ぎしであり、


 なによりも、


 がなぁ……。


 確実かくじつ厄介やっかいなことになるだろうし……。


 どうにかして誤魔化ごまかすしかないかぁ。


 ……他人のいえめてもらうのも、


 な)


 となりを歩く幼女マルシアに、


 一応いちおうの確認をする。



 「──ふっふふっふふ~ん♪」


 「……おい、

 マルシア。

 ちなみになんだが、

 ──この契約けいやくってヤツはあとから破棄はきをする事は根できないのか……?」


 「……んぅ?

 ──ふふんっ、

 この契約けいやくは一度してしまえば ″絶対に破棄はきすることができない″ のだ!

 それよりも、

 その『マルシア』ってび方、

 すっごく気に入ったのだ!

 これからもマルシアそれでお願いするのだーっ!」


 「はぁ……。

 ったく、

 今後こんご居座いすわるつもり満々まんまんかよ……。

 まぁ、

 いえ宿泊しゅくはくするけんは、

 しょうがねぇから俺がどうにかするけど、

 そのわりと言ってはなんだが、

 あとでお前についてのことや、

 この左手のこう紋章もんしょうについても詳しく聞かせてもらうからな」



 俺は六芒星ろくぼうせいきざまれた、


 左手のこうあお紋章もんしょうを、


 マルシアの方へと見せつけるように軽くかかげる。


 すると、


 それをキョトンとした表情で見たマルシアが気付くと、


 すぐに「にぱっ」と笑い、



 「ふふんっ、

 もっちろんなのだーっ!」



 そう言って、


 「ビシッ」という効果音がするほどの敬礼けいれいのマネをするマルシア。


 ──クッ、


 不覚ふかくにも、


 カワイイと思ってしまった……っ!


 お、


 俺は……、


 ロリコン、


 なのか……?


  (茫然ぼうぜん)


 そんなしょうもない苦悩くのうには気づいていないマルシアが、


 その幼くも愛らしく、


 整った顔立ちで心配そうにコチラをのぞんでくる。


 ──や、


 やめろぉっ!


 こ、


 このままでは、


 俺の尊厳そんげんが……っ!!


 俺はその感情をどうにかおさみながら、


 至極しごくなんでもないフリをする。


 (──コイツは剣……、

 コイツは剣だっ……、

 ──そう!

 無機物むきぶつ

 無機物むきぶつなんだっ!!)


 「?

 ……どうしたのだー?

 大丈夫なのだー?」


 「──っ!

 い、

 いや、

 大丈夫だ。

 そ、

 それより、

 とっとと行くぞ……っ」


 「はいなのだーっ!」



 誤魔化ごまかすように平然へいぜんとした態度たいどを取りつくろうとするが、


 はからずしも辿々たどたどしい口調くちょうになってしまう。


 ──ちなみに言い忘れていたが、


 今はくだんの家に帰宅中きたくちゅうである。


 幼女を連れ回しているからか、


 若干じゃっかんまわりからの視線がマイナス三度くらい冷たい気もするが……。


 自然と早足はやあしになる。


 その甲斐かいがあってか、


 それから数分すうふんもせず、


 すぐにいえ辿たどくことが|できた。


 目前もくぜん雄々おおしく顕在けんざいするは、


 ちく四〇年ほど木造三階立もくぞうさんがいだての立派りっぱ一軒家いっけんやだ。


 親によると、


 俺をひろった時にてたらしい。


 マルシアを連れながらおそるおそるとびらを開けて家に入る。


 (──現在、


 父さんはりょうに出ているからいない。


 母さんは専業主婦せんぎょうしゅふだからいる、


 コレは問題ない。


 だが、


 それよりも、


 ──たのむっ!


 すでにアイツだけは、


 アイツだけは学院に行ってるように……っ!!)


 そう願いながら、


 しのび足で玄関げんかんを通り、


 家の奥に入ってくと、母さんが朝食の片付かたづけをしていた。


 ──……これは、


 ……行った、


 か……?


 俺はねんを押すように、うしろのマルシアに、


 一つ忠告ちゅうこくをしてから母さんに話しかける。


 (──おい、

 俺が良いって言うまで出るなよ?

 そしてだまってろよ?

 絶対だぞ?

 絶対だからな……?)


 (──は、

 はいなのだー!)



 「──た、

 ただいまです、

 母さん。

 少し話があるんですけど、

 良いですか……?」


 「!

 あら~、

 お帰りなさい、

 アストちゃん。

 今日は随分ずいぶんおそかったわねぇ。

 なにかあったのかしら?

 この母さんにどぉんと話してみなさいなっ!」



 そう言って豊満ほうまんな胸 (メロン) をりながらコチラに振り返ったのは、


 俺の義母ぎぼであるセラス母さんだ。


 たしか、


 今年で四〇代のはずだが、


 まだまだそうは見えないほど若々わかわかしく、


 義理ぎりである息子むすこの俺から見ても、


 出るとこは出て、


 引っ込む所は引っ込んでいる、


 魅力的かつ、


 スタイル抜群で美しい容姿ようしをしている。


  (※決してマザコンではない)


 俺はできるだけ低姿勢ていしせいで、


 懇願こんがんするように話し始める。



 「あ、

 あのですね、

 今日もいつも通り朝のランニングと剣の素振りに行っていたのですが……、

 偶然ぐうぜんというか、

 なんというか、

 ──こ、

 この子をひろいまして……、

  (──良いぞ)」


 「(──ふふんっ)

  よろしくなのだーっ!」


 「!

 あらまぁ……!

 そのカワイらしい子は?」



 マルシアをとなりに連れて来て、


 ことのあらましを少しぼかしながら説明する。



 「えーっとですね、

 この子はマルシアと言って…………。

 こ、

 孤児こじのようなんです。

 なので、

 迷惑めいわくかもしれませんが、

 ウチあずかりたいな、と。

 ──も、

 もちろんそのぶん

 仕事の方は今よりも誠心誠意せいしんせいい

 頑張りますので!

 ダメ、

 でしょうか……?」


 「……んん?

 孤児こじなんぞ、

 ─── (むぐぅ!?)」


 「ど、

 どうでしょうか……っ?」



 マルシアが余計なことをしゃべりそうだったので、


 『シュバッ』と咄嗟とっさに口を高速こうそくふさぐ。


 ──お、


 お前はだまってろっつってんだろうが!! 


 対する母さんは、

 今まで見たこともいくらい真剣しんけんな顔で一度黙考いちどもっこうすると、


 顔を上げてコチラに当然の質問してきた。



 「それは別にイイのだけれど……。

 その子の、

 親御おやごさんは?」


 「え、

 えーっと……。

 すでに他界たかいしているらしく、

 いないそうです。

 家もないようで……。

 見つけたときには、

 一人でした」


 「……?

 さっきからなにを言ってるのだあすとは?

 元々もともと岩に、

 ── (むぐぅ!?)」



 (──だからお前はだまってろっつってんだろうが!)


 (──ご、

 ごめんなのだ……)


 俺が必死にアドリブで母さんと会話しているところにとなりマルシアアホまたもや介入かいにゅうしてきたので、


 先程さきほどより速く、


 強く口をふさいだ。


 母さんは気づいていないのか、


 一度陰鬱いんうつな顔をするが、


 すぐに普段通りの笑顔へと戻り、


 コチラに返事をする。



 「──そう……。

 くわしいことはまだ知らないけられど、

 見た感じ悪い子じゃ|なさそうだしね。

 帰るべきいえが|なくて一人なら、

 ウチまってもイイわよ?

 家内かないの誰も文句もんくは言わないでしょうし……。

 さいわい、

 部屋もあまってるしね」


 「あ、

 ありがとうございます!」


 「感謝するのだー!」


 「うふふ、

 どういたしましてっ♪」



 そこで一旦いったん話が終わり、


 マルシアの自己紹介は後として、


 ありがたいことにとっておいてもらった、


 少し遅めの朝食をることになった。


 今日のメニューは卵を乗せたトーストと、


 トマトスープの二つと比較的軽ひかくてきかるいメニューだ。


 セラス母さんの作るメシ贔屓目ひいにめなしになんでも美味ウマいので、


 ウキウキしながら席にく。


 すると、


 なぜかマルシアがとなりすわってきた。


 俺は思わずジト目でたずねる。



 「……マルシア君。

 君はなぜ、

 となりに座っているんだね?

 普通は対席たいせきだろう?」


 「ふふんっ、

 それは当然、

 少しでもあすとの近くにいたいからなのだ!」


 「──っ!?

 は、

 はぁ……っ!?」



 そう言ってくもりのい笑顔を向けてくるマルシア、


 そして、


 あまりの驚愕きょうがくに思わずる俺。


 こ、


 コイツ……っ!


 なんででそんなことが言えんだよ!


 逆にこっちがずかしいわ!!


 さらに、


 それを偶然ぐうぜん見た、


 ──いな! 


 わざとコチラを見ながら皿洗いをしていたセラス母さんが、


 目を光らせて俺たちを茶化ちゃかしてくる。



 「──ウフフ♪

 あらぁ~♪

出逢であったばかりなのに、

 二人とも朝からラブラブねぇ~♪

 なにぃ?

 私は席をはずした方がイイかしら~?」


 「──っ!?

 い、

 いえっ!

 そそ、

 そんなんじゃありませんから!

 本当にっ!!」



 俺は必死に首がもぎれるほど振って否定ひていする。


 なぜなら、


 ロリコン疑惑ぎわく浮上ふじょうするからだ。


 それはなんとかして回避かいひしたい。


 俺の残り少ない尊厳そんげんに関わるからな……。


 まぁ、


 すでに手遅ておくれかもしれないが。


 そんなやりとりをしながら、


 ワイワイと二人で朝食をっていると、


 二階からドタドタと誰かがりてくる足音が聞こえてきた。


 ──な、


 なにィ……っ!?


 あ、


 アイツっ、


 まだ行ってなかったのかよっ!!


 俺は咄嗟とっさにマルシアの頭を押しつけてテーブルの下にかくそうとするが、


 いきなりのことですぐに行動へうつれない。


 ──て、


 手がっ!


  手がふるえる……っ!



 「ま、

 マルシア!

 すまないがテーブルに、

 テーブルの下にかくれるんだ……っ!!」


 「──むぐぅ!?

 い、

 いきなりなにをするのだー!

 やめるのだー!

 トマトスープが、

 の大切なトマトスープがこぼれるのだぁーっ!!」


 「!

 あらあら、

 急にどうしたの?」


 「あ、

 アイツにはまだ、

 見つかるわけには────」


 「──あっ、

 にいにぃおっはよーっ!

 今日はおそかった……、

 ね……? 

 ──だれ

  その子……」



 階段かいだんりて俺に声をかけながら姿を現したのは、


 セラス母さんと顔つきがており、


 将来しょうらいは同じく美人になるだろう容姿ようしをしている、


 容姿端麗ようしたんれいな美少女。


 この家の一人娘ひとりむすめの ″実子じっし″ であり、


 俺の幼馴染おさななじみでもあり、


 義妹ぎまいでもある、


 『マナ』だった。


 あ、


 あぁ……。


 よりにもよって、


 今、


 このタイミングだとは……っ!


 先に事情じじょうを説明するのと見つかるのでは、


 量刑りょうけいが全く違うのにっ!!


 圧倒的な絶望におそわれ、


 人知ひとしれずおののいていると、


 我が義妹マナ此方こちらへニコリと微笑ほほえみ、


 実質じっしつ死刑宣告しけいせんこくをする。



 「事情じじょう……、

 教えて……、

 くれる、

 よね……?」


 「──っ!?

 は、

 はいぃ……っ!

 も、

 もちろんでございます……っ!!」



 俺は年下の義妹いもうとに、


 なさけなくうなずくほか、


 なかったのであった…………。



 ──不条理ふじょうりが、


 過ぎるっ!!



          *


 義妹……、


 良いよね。


 義妹かつ幼馴染みかつヤンデレのご登場です。


 因みに彼女(義妹)は魔法学院で成績優秀者です。


 それも最上位の。


 もちろんつおいお。


 最後まで読んで下さり、


 感謝します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る