俺の彼女は霊感体質

やっき

第1話 老婆の霊

俺の彼女は霊感体質だ。

霊感と言っても、人それぞれあるらしく、彼女は「何か悪いもの」が見えてしまう体質のようだ。

「幽霊が見える」「妖怪が見える」「神様が見える」「怨霊が見える」「鬼が見える」「オーラが見える」

など、様々な通常の人には見えないものが見える人たちだが、全てが見えるひとはまずいないそうで、その時の体調によっても左右するが

「何か悪いもの」が見えてしまうそうだ。


彼女は現在、大学の4年生で、

小さい頃にある日突然、見えるようになったと言っていた。

いきなり”はっ”と気づいたのだ。「今、見えるようになった」と


ある日、彼女が俺に相談してきた。

「最近ね、ママの腰から背中にかけて、すごく痛い痛いって言ってる。なんかシップとか買ったほうがいいのかな?」

彼女の母親はデスクワークをしているため、俺は

「背中くらい痛くなるよ。仕事してるんだからさ」

とあまり気にも止めていなかった。


しかし、日が立つにつれ、

母親の腰はどんどん痛くなっていっているらしく

病院や整体、腰に良いとされるマットレスなども試してみたが、

どれも効果がなかった。


そんなある日、俺はふと気になって日常会話程度に

「ねえ、最近はこの家に幽霊って見えるの?」

と聞いた。基本的に悪いことはしないが、本当にヤバい奴がいる時以外は

彼女は俺に幽霊がいるなんてことは言ってこないため、たまに好奇心程度で聞いている時があるのだ

「この間まではね、小さい女の子がいたよ」

彼女がそう答えた

「へぇ、じゃあ今はどうなの?いないの?」

そう俺がとうと、彼女は気まずそうにこう答えた

「ママの部屋にね、ずっと腰が曲がった老婆がいるの・・・」


彼女の母親は非常に怖がりで、

小さい頃から彼女が見えることと、父親も同じような体質を持っているため

ラップ音や軽いポルターガイスト、金縛りみたいなものをよく経験している。

そのため、幽霊には格別に苦手意識を持っているため、母親にはいつも聞こえないようにそのような話をしている。


「それにね、最近は夢にも見るの。その老婆かよくわからないんだけど、いきなり手を掴まれて”すぐ!!!”って言われるの。なんなのかわかんないんだけど」

彼女はよく変な夢を見ることが多いが。

具体的に住んでいる家の中での夢を見ることはすくない。


俺は基本的に幽霊を信じてはいるが、

実際に怖い思いをしたこともなかったため、どうでもいいと思っていたが、

ある日、彼女の家に泊まりに行った際に、不可思議なことが起こった。


彼女には弟がいるのだが、彼の生活音はとても大きい。

ドアを閉める時も「バターーーーン!!!」

レンジの蓋を閉める時も「バシーーーン!!!」

階段を降りる時も、引きこもりの息子のためにカーチャンが買ってきてくれたお菓子を取りに来るような速度で「ドタドタドタドタ!!!」


「そういう生活音はよくないよ、特に深夜とかはね」

と本人に何度か言っているがあまり改善は見られない。


ある日の夜中

2階の彼女の部屋で一緒に寝ていると、深夜2時から3時くらいにかけて

ずっと1階のリビングあたりで音がしているのだ。

ドアを締めたりするような音や、冷蔵庫を開けているような音だ。


そして、極め付けは深夜3時くらいに物凄いおとで2階から1階へ階段を

「ドタドタドタドタどたーーーーーーっ!!!!!」

と降りて行った音が聞こえたのだ

これは明日、ちゃんと叱らないとなと思っていた


思っていたのだが・・・

「なあ、春休みだからって夜更かしして夜中にあんな音出すのは非常識だ。お前ももう大学生だろう」

と、彼女の弟に説教をしたのだが

「え?俺昨日1時には寝てたよ???」

・・・彼女の家族みんなの背筋が凍った朝だった。


そんなような状況もあり、

今回の老婆が見えると言っている彼女の証言から推察するに俺は

「ママが腰痛いって言ってるの・・・それじゃね???」

と言った

俺にそう言われた瞬間、彼女はハッと気づいた。そう、彼女はとても馬鹿なのだ。

「ヤバいかも!!!!どうしよう!!」


その老婆は腰がとっても曲がっていて、

正面から見ても腰が頭の上に見えるほどだという。


「とりあえず・・・パパに相談してみるね」

彼女の霊感体質は父親譲りだ。この親子、別に霊を退治する方法は全くわからないが

悪いものだけ見えるという。

同じものが見えている時があるため、この家族間では幽霊は当然のように”いる”ものとされている。


そして、父親からの指示はこういったものだった・・・


続く

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俺の彼女は霊感体質 やっき @yakki-sama

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