姫と呼ばれて

 「あんた眠り姫だな!」

 「眠り姫?」

 「あんたずっと眠ってたよ!もうかれこれ丸一日は経ってる。」

 「嘘……!?」

 あわてて携帯を見るともう月曜日だった。

 鬼のようなメールと不在着信を見て、胸のあたりがギュウッと締まっていくのを感じた。


 「ずっと携帯鳴ってたから、電話に出て寝てますって伝えといたぞ。」

 寝てますじゃねぇよ……。

 「あ、ありがとう……ございます。なんて、言ってました?」

 「はぁ?あんた誰だよって言われたから山にいたんで、家に連れてきた者です。って言ったら、電話越しに警察!警察!って叫んでたな〜。がっはっは!」

 ......合ってはいる。合ってはいるが、そんな誤解されるようなこと言わなくてもいいだろうに。

 「誤解されるのは慣れとるからな!がっはっは!」

 そう豪快に笑い飛ばす彼は変な人なのだろう。


 「とにかく電話しなきゃ!」

 そう言って履歴を見るが、職場からの連絡しか入っていないことに気づく。

 

 

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4月1日 たぬきたけき @tkk19910108

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