眠る

 聞こえないのだ。

 彼が何を喋ろうとも嘘がない。こんな人間いるのだろうか?

 確かにデリカシーはないし、笑い方も豪快と言えば豪快だが、お世辞にも上品とは言えない。


 「ごちそうさまでした!」

 そう豪快に言い放つと、彼は片付けを始めた。

 「……手伝いましょうか?」

 「い〜や、大丈夫だ。」

 嘘はない。


 「そう……ですか。」

 そうして、囲炉裏の前で火を眺めていると急に眠気を感じた。

 知らないおじさんの家で寝るのは危ないとは思ったが、気づくと眠りに落ちていた。


 「……お、起きたか!」

 どのぐらい寝ていたのだろうか?

 気づくとあたりはすっかり夜になっていた。

 「大丈夫、何もしてねぇから!がっはっは!」

 バカ笑いが鼓膜を揺らす。でもどこか心地よい。

 「ありがとうございます。」

 いつの間にかかけられていた毛布にくるまりながら、差し出されたスープを飲む。

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