lost the HERO

リリィ

プロローグ 「英雄の消滅」

むかしむかし、とある物語。


悪魔が侵食し、蝕む空。

終末を迎えた世界は、絶望に染まり、希望をもつ者は居なかったであろう。

終末の魔女は嘲笑う。

騎士は倒れ、援軍も全て壊滅。玉座には誰の姿も見当たらない。


──神は死んだ。


誰もがそう思った。


しかし、


「サラ、トドメは俺が刺す!1分だけ、敵の相手を頼む!」

「オーケー!この貸しは大きいからね!」



目を閉じ、大きく空気を吸い込む。

──走り出したのは同時だった。


「魔女さーん、こっちだよー!…よっと、あたしのとっておきの魔法、耐えられるかしらー!!!??」


魔女の視界に入った少女は両手をかざし唱える。


「星ごとく輝くもの、アステライアの血をひく我が命じる」


蒼く淡い光が身体を包み込む。


「水流と共に倒れよ、ヒュドール楽園アルカディア!!


水流は一直線に相手にめがけて放たれる。唸り声が轟く。


「───あとは任せたわよ、レイ!」


視線の先には天高く飛び立ち煌々と輝く一人の青年の姿。


「神々を統一するが命じる!」


片目が黄金に変わる。


「神々にひれ伏せ!神裁クリシィ・トン・テオス!!」


瞬間、雷が魔女を切り裂く。

雲の間から木漏れ日のように光が射す。




沈黙を破ったのは少女の歓喜の声。


「っしゃあぁぁぁ!!!あたし達の勝ちぃぃぃぃ!!!!」


この戦いが終わったら好きと伝える。


そう決めていた。


覚悟を決め振り返った

その時。


「アル、ジ ノ 、ソンザイ ハ、エイエン」


使い魔と気づくには、遅すぎた。


「あ…」


ゆっくりと短剣が腹部に近付く。


反射的に目を瞑る。



しかし倒れたのは














「…記憶閉鎖ムニミィ・メイス


彼の最期の言葉だった。

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