夏目漱石『吾輩は猫である』のオマージュ作品(だと思います)。
しかし、語るのは猫ではなく牛。それも闘牛でありながら、クールでちょっとキザな内面をお持ちな「ビリー・ザ・キッド」という名の雄牛です。
「ビリー・ザ・キッド」という名前は、彼をお世話してくれるレンという女の子が付けました。そのレンをキッドが傍で見ているという話なのですが、読んでいると、一頭の雄牛と一人の女の子の愛情物語なのかなと思います。
淡々と流れるような文章に加え、キッドの一見クールでキザな物言い(心のなかの話ですが)に、素っ気なさを感じるかもしれませんが、言葉の裏に秘められたものを感じ取れると、くすっと笑えたり、レンの優しさとキッドの愛情深さが垣間見えたりする優しいお話です。
気になった方は読んでみてはいかがでしょうか。