エピローグ

 あれから母さんと担当の医師が入ってきていろいろ聞かれた。それはもういろいろ。意識はっきりしてるか、痛むところはないか、顔が赤くなってるのは何でか、茜と何やってたのか。

 うん、ちょっと余計なことを聞かれた。


 大事を取って数日入院することになった。俺が車に轢かれてたった2日で意識を取り戻したのはほとんど奇跡だったという。それを言うなら茜が意識を取り戻したのも立派な奇跡だと思う。


 入院中は茜がいつも学校帰りにお見舞いに来てくれた。本当に、嬉しい。


 そして、俺たちのこれからについて話し合った。


 「ねぇ、大地くん。実は私、今大地くんが住んでるアパートに一緒に住まわせてもらおうと思うんだけど・・・・ダメ、かな?」

 茜が顔を赤くしながら上目遣いでそんなことを聞いてきた。

 「へっ?・・・・い、いや」

 俺は驚いて変な声を出してしまった。申し出自体はもちろん嬉しいのだが。

 「茜の母さん、一人暮らしは許してくれてないんだろ?」

 「大地くんと一緒に、って言えば多分・・・・・大丈夫」

 「多分かよ・・・・」

 「何、それとも大地くんは私と一緒に暮らすのが嫌、なの?」

 「いや全然」

  俺は顔を少し赤くしながらも即答した。

 「なら、大地くんが私のお母さんを説得してみせてよ。カッコいいとこ・・・・・見せてよね」

 可愛い彼女にこんなことを言われてしまえば言うことは一つしかない。

 「・・・・任せとけ」


 俺の母さんはあっさり了解してくれたが茜の母さんは少し手間取った。俺が土下座してでも了承してもらおうという勢いで頼み込んだら、


 「ま、まぁほどほどに付き合うなら・・・許します」


 といった感じでしぶしぶ了解してくれた。

準備とかいろいろあって俺が退院してすぐとはいかなかったものの、その年の夏から俺と茜は同棲を始めた。


 「電気・・・消すよ」

 「い、いいよ・・・」


 最初はお互い顔を赤くしながら緊張してなかなか眠れなかった。別に変なことはしてないからな。俺はヘタレだし。


 けれど、これでもう離ればなれになることはない。俺は一生をかけて茜を幸せにする、そう心に誓った(多分)。


 そうして月日は流れ、俺たちは大学生になった。高3の時はそれはもう頑張って勉強しましたよ?ほんと、ほんと、イチャイチャしながらとかじゃないからね。めでたく俺と茜は一緒の大学に進学した。


 桜舞い散る河川敷で。


 「ねぇ、大地くん。大学卒業したら、結婚のこと・・・考えないとね」

 にっこり笑ってそう告げた。

 「あ、ああ。もちろん。けど、またお前の母さんに許しをもらわないとな・・・」

 そのことを考えると少し気が重くなる。

 「大丈夫だって!お母さん、何だかんだで大地くんのこと気に入ってるから」

 「だといいんだけどな」


 これからのことはまたゆっくり考えていこう。今までにいろいろなことがありすぎた。


 俺たちは二人、ゆっくりと河川敷の桜を眺めていた。

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なぜ彼女は365日「好き」を伝えるのか 蒼井青葉 @aoikaze1210

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