第一局 三連星①
中学ではバスケ部だった。
入った理由は、小学生の時読んだバスケ漫画が面白かったから。
練習は真面目にした。
でも下手だった。
そして、試合よりもシュート練習が好きだった。
真面目に練習していたので試合にはちょくちょく出してもらっていたが、
いつもガチガチに緊張していた。
失敗して、チームメイトに悪く責められたくない、
という気持ちにいつも付きまとわれていた。
シュート練習はその点気楽だった。
失敗しても、先生から自分への評価が下がるだけだ。
そんなことより、自分が放ったボールが美しい弧を描き、
リングに吸い込まれたときの快感に夢中だった。
自分が下手なことは分かっていた。
かといって、一人で特訓するほどの根性はなかった。
試合に出してもらう度、チームに迷惑をかけたくない気持ちと、
試合でシュートを決めたい気持ちがせめぎあっていた。
高校ではソフトテニス部に入った。
団体競技だと周りに迷惑がかかることが怖い。
なら個人競技のテニスならのびのび楽しめるのでは? と思っていた。
ソフトテニスの試合ではダブルスしかないことを知ったのは、
入部届を出す時だった。
硬式テニス部もあるにはあったが、顧問が鬼のように厳しかった。
入部届は出し直さなかった。
シングルスをしたい気持ちに、鬼にしごかれたくない気持ちが勝ったのだ。
高校からソフトテニスを始めた僕に、部員の皆は優しかった。
だけど試合の度、自分とペアを組まされる相手に対しては、
いつも申し訳なく思っていた。
中学で三年間練習した連中とまともに打ち合えるはずもなく、
試合ではいつも負けていた。
結局、公式戦で勝ったのは1回だけだった。
初心者なりにどうすれば勝てるかいろいろ考えたりもしたが、
三年間の経験値を上回るには圧倒的に練習量が足りなかった。
試合の作戦や戦型を考えているときは楽しいのだが、
いざコートに立つと、狙ったところにボールが全く飛ばないのだ。
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