ヤ〇チンから最愛のツンデレ幼馴染を取り戻すラブストーリー

osa

暴力系巨乳ツンデレ幼馴染を奪還せよ!




 その日、朝っぱらから唐突に始まった痴話喧嘩に、教室内の雰囲気は混迷を極めていた。


「そんな……どうしてなんだユキナ!」


 タクヤは憐れにも声を震わせた。


「さっき言った通りよ!わたしはハルマくんと付き合うことにしたの!」


 ユキナがプイっとそっぽを向くと、彼女の煌びやかな金髪のツインテールがひるがえり、グラビアアイドルもかくやというメロン大のGカップが“ユッサ……”と後を追った。


「そんな……どうしてなんだユキナ!」


 タクヤは憐れにも声を震わせた。


 もう五回目である。


「あのさァ? オマエいい加減に分かれや。ユキナはオレと付き合うことになったんだよ。幼馴染ってだけのダッセェオマエなんかよりも、ユキナはオレの方を選んだってことだ!」


 そう横から答えるのは、校内でも有名なヤ〇チン――ハルマだった。


 彼は薄笑いを浮かべて余裕たっぷりに言い放ち、両手を広げて肩をすくめる芝居掛かった動作からは、タクヤに対する嘲りや愉悦が見て取れる。


「ユキナはオレがきっちり面倒見てやるからよ。今日この後にでも、ユキナのエロい身体の方も完全にオレの物にしてやっから――ああ、オマエにもその様子は実況してやんよ」


 と、挑発的に笑うハルマ。


 ハルマは寝取りが趣味だった。奪い取った女と自分の性行為を元カレや片思いの男に見せ付けることに無上の悦びを感じる倒錯した性癖を持っていた。


 未だ高校生にして、これまで壊して来たカップルは数知れない。


 しかも、今回の獲物は校内でも有名な巨乳美少女のユキナということもあり、ハルマのテンションは爆アゲで、これ以上ないほどにイキっていた。


「つーかさァ、オマエ、ただの幼馴染の分際で気安くオレの女を名前で呼んでんじゃねぇよ。マジ潰すぞ?」


 片眉を吊り上げ、低い声で威嚇するハルマ。全体的にパフォーマンス臭が漂うが、長身なのでそれなりの迫力がある。


 しかし、タクヤはまったく目に入っていない様子で、ハルマの隣に立つユキナに向かって問いかける。


「そんな……どうしてなんだユキナ!」


 タクヤは憐れにも声を震わせた。


 六回目である。


 聞かされるクラスメイト達は、“もういい加減に台詞を変えろよ!”とタクヤにクレームを付けたい気持ちだった。


「……ウッゼェわ、オマエ。舐めてんの?」


 舌打ちと共にタクヤに向かって一歩踏み出すハルマ。その眉間には深い皺が寄り、瞳には剣呑な光が宿っている。


 危険な兆候とピリつく空気に、教室内にも緊張が走った、が――。


「ごめんハルマくん!ちょっと退いてっ!」


 そう叫びながら、ユキナはハルマの背後から股間を思い切り蹴り上げ、その場に膝から崩れ落ちた彼の側頭部に、手近にあったクラスメイトの重たいカバンをフルスイングすることで退いてもらった。


 ユキナの属性の一つでもある“暴力系”が回収された瞬間である。


 そうしたユキナの献身より邪魔だったハルマが排除され、タクヤとの見通しが良くなった。


「そんな……どうしてなんだユキナ!」


 タクヤは憐れにも声を震わせた。


 ハルマについては特に触れられることはなく、今までと同じ台詞がリピートされた。


「うっさいっ!わたしはあんたのことなんか何とも思ってないんだからね!べ、別に、幼稚園の頃からずっとずっと好きだったわけじゃないんだからね!――あ、むっ、むしろ!嫌ぃ……じゃ、その……大好きっ!とか、結婚したいっ!とか、大好きっ!とか――じゃないんだからねっ!!」


 ユキナは音も無くタクヤに擦り寄ると、釣り目がちの大きな瞳を潤ませて彼をじっと見詰めながらそう捲し立てた。


 教室内からは“新手の告白か!?”とどよめきが生まれる。


 対し、タクヤは憐れにも声を震わせた。


「そんなっ! 今朝だって、あんなに熱心に“おはようフ〇ラ”して起こしてくれたじゃないか!?俺のことを好いてくれているからだろう!?」


 やっと台詞が変わったと思いきや、その内容に教室内が固まった。


「なっ――そ、それは……あ、アレよ! その……あ、朝起きたら……め、目の前に元気なお〇んちんあったから、ついしゃぶってしまっただけよっ!」


「ゴックンまでしてくれたのに!」


「だっ、出されたものは美味しく頂かないとっ、生産者に申し訳ないでしょ!」


 もはや何の話をしているのか分からなくなって来た。


 教室内のクラスメイト達は一様に顔をしかめ、何とか事態を把握しようと頭を働かせるが、どう足掻いても、そこには下品な現実しかない。


 そして、常人には到底理解の及ばない話は次々に飛び出してくる。


「昨日の放課後にもしてくれた“ユキナの愛情たっぷりスペシャルパイ〇リ”の愛情は嘘だったのか!?」


「あ、あれは!タクヤのちょっと左反りのたくましいお〇んちんと、わたしの赤ちゃんの元を作ってくれるタマタマに対する愛情であって!あ、あんたへの愛情じゃないんだからねっ!」


 突如として暴露させる頭の悪い技名とタクヤの身体的特徴。そして、将来的な妊娠計画。


「だ、だったら、俺が疲れた時にしてくれる、①バブバブ赤ちゃん授乳手〇キプレイ→②マザコン甘やかセ〇クス→③甘トロちんぐりア〇ル舐め→①に戻る、のエンドレスコンボのご奉仕は!?俺への愛があるからだろう!?」


「あ、あれは……ま、ママになった時の練習なんだからねっ!」


 クラスの皆は頭を抱えた。


「くっ――じ、じゃあ!毎年俺の誕生月には、前以て準備してまで生セ〇クスさせてくれるのは!?俺のことを好きでいてくれているからじゃないのか!?そうなんだろう!?」


 全ての好意を否定されてしまい、今一度ユキナの愛を確認したいタクヤ。


 これまで幾度となく身体を重ね、自身を受け入れてくれていたのは愛故にと思っていた。しかし、先のハルマとの交際宣言もあり、タクヤは自分のどこかに慢心があったのかもしれないと激しい不安と焦燥に駆られた。


 タクヤは胸が張り裂けそうな思いで、縋り付くような目でユキナを見詰める。


「そ、それは……」


 ここに来て、ユキナが言い淀む。


 ツンデレの端くれとして、“ラブラブ生セ〇クスでタクヤに気持ち良くびゅーびゅーしてほしいから”などとは口が裂けても言えない。


 時間を稼ぐため、ユキナは一計を案じる。


 彼女はおもむろに身体を上下に弾ませて、自慢のGカップを揺らし始めた。魅惑のメロンがユッサユッサと揺れている。タクヤの意識を胸に集中させ、注意を反らす作戦だ。


 タクヤは見事その術中に嵌り、ふらふらとユキナの巨乳に吸い寄せられ深い谷間に顔をうずめた。中腰の苦しい体勢だったが乳の引力には逆らえない。


 制服越しでも分かる柔らかくも張りのある感触と、慣れ親しんだ甘い良い匂いがタクヤの思考力を根こそぎ奪う。


 ユキナは彼の頭を胸に抱き、優しく後頭部を撫でながら方策を考える。


 身体の方は当の昔にタクヤを主人と認め、毎日のように愛情たっぷりのご奉仕を繰り広げて来たが、心までは、心まではそう簡単にデレる訳にはいかない――と、まだもう少しだけ、ツンツンしていたいお年頃のユキナだ。


 そして、起死回生の一手がユキナの脳内に舞い降りる。


「か、かか、勘違いしないでよね!あの“ラブラブ生セ〇クス”は、単にわたしがタクヤの生お〇んちんを感じたいだけなんだからねっ!」


 あくまでも愛ではなく肉欲から受け入れたのだと主張する。


 それはそれで大興奮の事実だが、純粋にユキナを愛し、愛し合っていると思っていたタクヤは、心臓を貫かれるような衝撃と痛みを受けた。


 ユキナの胸元から顔を上げたタクヤは、瞳を潤ませて苦しそうに唇を噛む。


 捨てられた子犬のようなタクヤの表情に、ユキナは堪らなくなる。もはや放課後を待ってはいられない。さっさと話を終わらせて、学校をサボってタクヤをホテルに連れ込む――そう固く誓った。


 そうしたユキナの目論見など露知らず、タクヤは弱々しくユキナに言った。


「じ、じゃあ、ベロちゅうする度に“たくやしゅきしゅき”って囁いてくれたのは……?」


 タクヤの言葉に、ユキナは固まった。いかな彼女と言えど、聞き捨てならない話である。


「は――はぁ~っ!?そんなこと言ってないわよ!言うわけないじゃない!?」


 これについては、ユキナは本気で否定したし、言った覚えもなかった。


 タクヤへの好意や愛を否定する自分が、そんな醜態を晒しているはずがない。もしそんなことを言っているのだとしたら、ピエロも良いところである。


「わたしが“たくやしゅきしゅきおよめしゃんにしてぇ~♪”なんてベロちゅうの度に言うわけないでしょ!?」


 既に台詞の覚えがあやしくタクヤとの結婚願望が入り混じっているが気にしてはいけない。


 ユキナは身の潔白を証明するため断固言い放つ。


「っていうか! そこまで言うなら今ここで実際にベロちゅうしてみなさいよ!」


 言うが早いか、流れるような動きでタクヤの首に腕を回すユキナ。自慢のGカップを彼の身体に押し付けることも忘れない。慣れ親しんだ熟練を感じさせる動作である。


「わ、分かっ――んむっ……」


 タクヤが答えを言い切る前に、ユキナによって唇が塞がれた。


「んっ……絶対に……んむぅ……言わな――しゅきぃ……んん……しゅきぃ……っ」


 ベロちゅうが始まりおよそ五秒。ユキナがトロ顔で“しゅきしゅき”言い始めた。あまりに早い陥落だった。


 クラスメイト達がなぜか悔しそうに“くっ……”と漏らす。


 ユキナが自然と自身のブラウスのボタンをプチプチと外し始め、タクヤが慌てた。


「んぷぁ――ゆ、ユキナ、ここじゃマズイって……!」


 急いで彼女の胸元を押さえる。


「あ……ちゅう、やめちゃぁ、やぁーぁ……」


 ユキナが蕩けた赤ら顔で、ちゅうちゅう音をさせながらタクヤに向かって唇を突き出す。


 するとそこに、忘れ去られし寝取りキャラ――ハルマが意識を取り戻し、生まれたての小鹿のような動きで立ち上がる。


「く……ざけやがって――っ」


 側頭部に受けた衝撃で視界が揺れて気持ちが悪く、股間のダメージも甚大で熱を帯びた鉄球をぶら下げているかのように熱く重い。その痛みは一回りして明確な便意へと変換されている。ハルマはウンコがしたかった。


 そうしたのっぴきならない状況で、ハルマの視界に飛び込んでくる驚愕の光景。


「たくやぁ~……ちゅ~ぅ……ちゅぅ~ぅ~……っ」


 身長差でタクヤの唇まで届かず、仕方なく彼の顎に吸い付くユキナ。


「ちょっ、くすぐったいって」


 タクヤが身をよじり、ユキナの唇が顎から離れる。


「んむぅ~……」


 ユキナは不満気にきゅっと眉を寄せ、鼻に掛かった甘ったるい声で唸った。彼女の濡れた唇からは赤い舌先が顔を出し、物欲しそうにチロチロと踊りながらタクヤに向かって伸ばされる。


 なんだ、これは――と、ハルマは目の前の惨状に全身を凍り付かせた。


 つい先ほど、自分と付き合うと宣言していたユキナが、知らない内に完全に陥落していたのだ。しかもその相手は、ハルマがこき下ろし趣味のダシに使おうとしていたタクヤである。


 これではまるで、自分が寝取られたようではないか――ハルマは初めて感じるNTRの痛みに胸を抉られた。


 そんなハルマの前では、抱き合いながら身体を密着させたタクヤとユキナが囁き合っている。


「なぁ、教えてくれ、ユキナ。俺達は本当にもうおしまいなのか……?」


「うぅ……そ、それは……」


 少しだけ正気を取り戻したユキナが言葉に詰まる。


 タクヤとのベロちゅうで温かくなった心と出来上がった身体が、大音量で“デレろ”と言っている。しかし、僅かに残ったツンデレとしての矜持がユキナの判断を迷わせた。


 チラリと上目遣いに覗き見るタクヤの表情は真剣その物で――。


「うぅ……か、かっこいぃ……」


 思わず、素直な感想をもらしてしまうほど。


 そして、その勢いも手伝って、答えの方も口をついて出た。


「お、おしまいじゃないもん……」


 ついつい甘えた声、甘えた口調が出てしまい、ユキナはツンデレとしてこれ以上ない恥辱を感じた。


「なら、どうしてハルマと付き合うなんて……」


 タクヤの顔に困惑が浮かぶ。


「そ、それは、タクヤが……好きって、言ってくれないから……」


「え?」


「わたしのこと“好き”って言ってくれないから、こんなことしちゃったの!」


 思い掛けない理由に、タクヤは首を捻った。


「俺、いつも言ってなかった?」


 イチャ付いている時、プレイの最中やその前後――タクヤが記憶をさらってみる。


「言ってないもん……“愛してる”とか“ずっと一緒に居たい”とか、“結婚してほしい”とか、“俺の子供を産んでくれ”とかは言ってくれるけど……“好き”はなかったもん……」


「そうだったのか……それは、ごめん。じゃあ、これから――いや、今からユキナに“好き”って伝えていくから……これからも一緒に居てほしい」


 タクヤは締まった顔付きでユキナを見据えた。


「俺は、ユキナのことが――」


 だが、そこに、他人をダシに使おうとしてダシに使われた男が、ブチギレながら襲い掛かる。


「オラァアアアッ!!!」


 する方もされる方も経験した真のNTR漢――ハルマである。


 彼は諸事情からへっぴり腰でタクヤとユキナに近付き、そのままタクヤの顔面を殴打した。


 タクヤが、ぐわぁっ!と叫びながらドラマチックに倒れる。


「っ――ぬぅわぁあああにぃすんのよぉおおおおっ!!!!」


 夫を殴られ怒髪天を突くユキナが、日頃から乙女の嗜みとして持ち歩いているブラックジャックスラッパーを抜き放ち、ハルマの顔面に叩き付けた。


 凄まじい炸裂音と、放射状に飛び散る鮮血。


 突如吹き荒れる暴力の嵐に、クラスメイト達はただ呆然としている。


「ぐぶぅ……ふ、ふはへんな!おまへはらつきはへっへいっはくへひ!」


 鼻が潰れたハルマは、ふざけんな!オマエから付き合えって言った癖に!――と、鼻血を飛ばして抗議した。


「はぁ? ハルマくんがいつもいつも、ちょっとで良いから俺と付き合ってみようぜ、ってしつこいから、試しにこの一時間だけ付き合ったんじゃん。あ、もう別れるからね」


 不愉快そうに顔を歪めるユキナ。


「ふはへんだぁああああっ!!!」


 ふざけんな――と、もっともな叫び声を上げながらハルマが襲い掛かる。


「なっ――!?」


 今度は胸倉をがっちりと掴まれてしまい、ユキナはそのまま壁際まで押し込まれた。


 そして、ハルマの手によって、ブチブチブチ!とユキナのブラウスが引き裂かれる。絶体絶命にピンチにユキナの顔が悲痛に歪んだ。


「へ、へへっ、まっへはへ、こぉほひほぉお!」


 待ってたぜ、この時を!――とハルマは半壊した痛ましい顔で笑う。


 ここから、ハルマの反撃が始まる――と思いきや、そんなことはない。


「ちょっと!何をやっているの!?」


 金切り声を上げながら登場したのは、裏で“女帝”などと呼ばれるBBA教師。


 この事態を収束し、エンディングまで持って行くために投入された刺客である。


 女帝先生は一瞬で状況を把握した。


 男子生徒A(ハルマ)が、女子生徒(ユキナ)に対し性的暴行を加えようとし、止めに入った男子生徒B(タクヤ)を暴力で排除。男子生徒A(ハルマ)は、今まさに女子生徒(ユキナ)に性的暴行の続きをせんと、興奮のあまり内股となり鼻血まで出している始末――。


 完璧な分析である。


 女帝先生は、大人のエチケットとして持ち歩いているブラックジャックスラッパーでハルマを静かにさせてから、現行犯で連行して行った。


 ユキナは床に倒れたタクヤに縋り付いた。


「タクヤ!目を開けて!」


 しかし、タクヤは動かない。


「うぅ……タクヤ、お願い……目を覚まして……わたしを独りにしないで……っ」


 ユキナはタクヤの上半身を抱き起し、その唇にそっと口付けを落とす。


「ん――む……ユキナ……」


 奇跡が起きた。なんと、タクヤが意識を取り戻したのだ。


「タクヤ!? タクヤぁっ!!」


 タクヤに縋り付くユキナ。


「俺さ、ユキナに伝えたいことがあるんだ」


「うん、うん、なぁに?」


「俺さ、ユキナのことが、好きだ――」


 ずっと聞きたかった言葉。やっと聞けた言葉。


 ユキナはそれを噛み締めるように瞑目してから、ゆっくりと瞼を上げる。


「わたしも、タクヤが、好き――」


 二人は抱き締め合い、それから、長い長い口付けを交わすのだった。




 こうして、タクヤは幼馴染の絆の力によって、寸でのところでヤ〇チンハルマの魔の手からユキナを取り戻すことに成功した。


 タクヤは“好き”という言葉と共に再び思いを伝えはじめ、ユキナはデレ期に入った。


 そうして、タクヤとユキナの二人は、いつまでも仲良く暮らしましたとさ――。


 めでたしめでたし。




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