俺は引きこもり美少女の笑顔が見たい
冴えないkitoki
プロローグ
ひそひそと、また後ろから声が聞こえる。
いつもの事だからもうずいぶんと慣れてしまった。
まあ、当然悲しくはあるのだが。
それに、悪口を言う奴らも俺は悪いとは思えない。
俺だって周りにヤクザの子供なんかが居たら、悪口だって言いたくなるだろう。そりゃ怖いし。賢明な判断だとは思う。
自分の悪口を言う人達を褒めるっていうのも、変な話だが。
はぁ、ヤクザの子供なんかじゃなければ、俺も普通の人生を歩めたのか。
いくら悩んだって親が変わる訳でもなければ、周りの評価だって変わることは無いのは重々承知だが。
それでも、高校からは上手くいくって思っちゃったんだよ。
俺は一生リア充にはなれないんだろうな。
始業式が終わり、担任の長い話も終わった。
とっとと帰ってアニメのグッズでも買いに行くか。
急いで来たので、店内はそれ程賑わって無かった。
ただ、俺と同じ制服を着た人たちが何人か居たので少し・・・いや、かなり憂鬱に。
早く本を買って帰ってしまおう。
そう思い、大人気シリーズの新刊が出てたので、手に取りレジに行こうとした。
その時
「そのシリーズ好きなの?面白いよねえ」
店内の雰囲気とは合わないやけに透き通った声が後ろから響いた。
振り返ると、見覚えのある黒髪ロング美少女がそこに居た。
確か名前は・・・
「何ですか?小桜 笑満さん」
「お?私の名前を覚えてくれてたのかあ、」
「そりゃ覚えますよ。目立ってたので」
何たって入学生の代表挨拶してたし。美人だし。
小桜さんはバリバリの陽キャで容姿も整っているから、一日目にしてクラスの中心にいるだろう。
男子にも女子にも囲まれるはず。正直羨ましい。
「褒めてくれるんだ?」
気の抜けたような笑顔を見せてくる。
おかしいな。褒めた覚えはないのだが・・・
リア充とオタクは言語が違うらしい。
「それで、何の用ですか?」
「え、用事なんてないよ?ただ、同じ趣味の人と喋りたかっただけ」
陽キャが、オタクアピールしたら、引かれるだろ。
「俺と居ると、周りに何言われるか分かりませんよ」
「別に回りなんて気にしなくていいじゃん!生きたいように生きようよ」
その通りだ。俺は周りの目を気にしすぎかもしれない。彼女は一切そんなもの気にしてない。だから陽キャでも堂々とアニメショップに来れるのか。彼女の生き方に興奮し、尊敬した。
その美少女が不登校になるとは夢にも思わなかったが。
俺は引きこもり美少女の笑顔が見たい 冴えないkitoki @kai_tunndere
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