第2話 鳥居の中

遥が巨大な鳥居をくぐると両側に古い家が建ち並んでいる一本道に視界が変わった。振り向いても、先ほどの鳥居はない。街並みは100メートルほどだろうか。その先にまた同じような鳥居が見える。

遥が前へ進もうとしたとき、足元にあった何かを踏んでしまった。ライトで照らしながら確認するとA4サイズの黒いスクラップブックだった。表紙には白い文字で『神在村』と書かれている。中を見ると新聞や雑誌の切り抜きが貼り付けられていた。

『神在村伝説。神在村の鳥居の先には神在大社と黄泉の国の入口が存在する。神在大社は黄泉の国の住人達がこちら側に出られないようにするために作られたと考えられている』

『神在大社が建てられた時巫女が人柱として選ばれた。そして、儀式が毎年行われていたようだ。そこでは生贄が捧げられていたらしい。あるとき、儀式は失敗し神在村は滅んでしまった』

『それ以来神在村に朝日が昇らない。終わることのない夜が永遠に続いている』


スクラップブックに書いてあることからこの村が神在村なのだろうと遥は推測した。そして、奥に見えている巨大な鳥居の先に神在大社と黄泉の国の入口があるのだろう……。遥は鳥居へ向かって歩き出した。


遥は鳥居に向かいながら両端に並んでいる家を見るがどこも古く壁のない家や窓ガラスの割れている家など荒れ果てていた。そして4、50メートル進んだ所にある家を通り過ぎようとしたときだった。壁が壊れ居間のような場所が見える家の中に人影があった。遥は人影を照らした。男が立っている。ボロボロの着物のような服をきた生気のない顔をした男が下を向いて立っている。男はライトで照らされるとゆっくりとこちらに顔をあげた。目が合うと男の目が血走った。そしてこちらに向かって近寄ってくる。鳥肌がゾワゾワとたち危険だと遥の本能が告げた。スマホの画面が一瞬赤くなり、ハートマークの横の数字が変化する。45/100という数字になった。遥は足がもつれそうになりながらも男のいた家の2軒隣の家が壁やドアなど壊れていないのを見て急いで中へ入った。

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侵蝕~ノロイノゲエム~ しずく @shizuku215

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