第14話 進撃の部長
「ようこそ! ボランティア部へ!」
突然、バァァァン! とスタンドを使ってきそうな大きな音とともに部室のドアが開かれた。
驚いた俺たちは振り返るとそこには長身で少し肌の焼けた健康的な女子生徒が立っていた。
マジで心臓止まるかと思ったぞ……
急に大きな音が鳴るのは心臓に悪い。
可憐も驚いたのか青ざめた顔で胸のあたりを押さえて目を見開いていた。
ホラーとか苦手そうだな。
「ちょっと桜、ドア壊れちゃうでしょ。もっと優しく開けてよね」
「ごめん、ごめん。昨日香織から体験の子来るって聞いてから興奮を抑えられなくて。仕事終わらせてから急いできたからつい」
須藤先輩に桜と呼ばれた長身の女性は黒髪のショートヘアで人懐こい笑顔が印象の、いかにもスポーツができそうな感じの人物だった。
上履きの色と砕けた話し方から2年生だとわかる。
でもこの人、どこかで見たような気が……
「はじめましてふたりとも。私は2年の
皆川先輩はこちらに近づくとそう言って右手をこちらに差し出して来た。
はじめましてって事は俺の勘違いか?
「はじめまして、自分は
俺も自己紹介しながら右手を差し出して握手を――って痛でででででで?!
「痛ってぇぇぇ?!」
その瞬間、とてつもない痛みが右手に走り、思わず叫んでしまった。
なんかボキボキ音がしたんですけど……骨折れてないよな? ないよね?
手を握られ……もとい握りつぶされた俺は右手をさする。
「え? あぁ、ごめんごめん! 新入部員なんて久しぶりだからな。緊張して少し力んじゃったよ」
嘘だろ!
あなた絶対俺の右手をミンチにする気満々の力で握ってたでしょ!
――なんて言葉にできるわけがなく、俺は冷や汗をダラダラ書きながらただ、「あ、あはは」と愛想笑いを浮かべることしかできなかった。
しかし、「すまんすまん」とカラカラ笑いながら謝ってくる先輩の額には真っ赤な笑顔のマークしか浮かんでいないため本当に悪気はなかったようだ。
どれだけ握力強いんだよ?!
「
そんな俺に可憐が冷静に突っ込む。
可憐の額には青色の青筋マークが浮かんでいた。
可憐さん、プチおこです。
「う、うん。ソウダネ……ごめんなさい」
だってしょうがないじゃないか。
俺は心の中でえなりか〇きになった。
たしかに失礼かもだけど、本当に痛かったんだもん。
「私は
「よろしく!」
そして可憐も桜先輩と握手をし……
「痛ったぁぁぁぁあい?!」
可憐の悲痛の叫びが部室をこだました。
鈍感じゃない俺はラブコメ主人にはなれない かしわもち @kashiwamochi2000
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。鈍感じゃない俺はラブコメ主人にはなれないの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます