天職
水谷一志
第1話 天職
一
俺は、いったい何になりたいのだろう?
俺は、この先どんな仕事をしていくのだろう?
俺にとっての「天職」とは、何なのだろう?
二
俺は、とある都会で生まれた。
そして今俺は、自分の進路のことで悩んでいる。
……俺の仲間には田舎生まれもいれば、都会生まれもいる。
中には畑や田んぼ以外何もないような田舎出身の者もいる。
しかし、そんな奴でもと言ったら失礼にあたるかもしれないが、将来の進路は決めている奴が多い……気がする。
俺は、いったい何になりたいのか?
三
少し他の奴の話を聞いたのだが、中にはものすごいセレブ・大金持ちを相手にする奴もいるらしい。
それはそれは、ビッグなビジネスになりそうだ。
ただ、そんな奴は決まって若かりし頃から大切に、大切に育てられている。
まあ、住まいも平均的だった俺なんかとは大違いだ。
でもそんな奴も立派に育ち、大きなお金を動かせるのだからあながち「ボンボン」とは言えないだろう。
四
また、そこまでのいわゆる「エリート」でなくても、大きなお金は動かせなくても、人を楽しませる仕事につきたいという奴もいる。
そんな奴も俺は立派だと思う。金持ちだけが人間ではない。いわゆる「庶民」の生活から苦しみを取り除き、少しでも希望を与えることも、大切な世の中の仕事である……と思う。
……ただ、俺のやりたい仕事ではないんだよな。
俺は、いったい何になりたいのか?
五
そんな中、世界中を動かすある事件が起こる。
それはご存知の通り、新型○○ウイルスのまん延だ。
……この事件は、本当に衝撃的だった。
この一件で苦しんでいる人は、今も世界中にいる。
そして俺はその瞬間から思う。
『苦しんでいる人を助けるのが、俺の仕事ではないのか?』……と。
六
もちろん俺には医者になる能力なんてない。病気を治すことなんてできない。
でも、そんな俺にでも、できることはあるのではないか?
七
さらに俺にとってビッグなニュースが入る。
何と、今まで人を楽しませようとしていた奴が、医療の道に進路を変えると言い出したのだ。
これで、俺の進路は決まった。
俺も、医療の道に進む。俺は医療に少しでも貢献し、人助けをする……!
八
「母さん、ちゃんと手、洗ったよ!」
「偉いわねえ!あとちゃんと、【アルコール】消毒もしないとダメよ!」 (終)
天職 水谷一志 @baker_km
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