第9話_最終決戦_
「皆、準備はいいな? 」
最期の扉が、重々しく開かれた。
「よく来たな、余らの
余こそ三大使徒最後の一人、
右手に握られているのは、
「そしてあなたは唯一、
「ほう、知っておったのか。
いかにも、他の二名は名の
「
まさか、昔からずっとあの姿って訳じゃねえだろ? 」
「複数の子を作り、その中で最も良く育った肉体に人格を
「そうだ、そして今の余が使っておるのは、そこの少年の父親だ。
そういうわけでな、初めましてだな、息子よ 」
ゼウスが指差したのは、
衝撃の事実に、
「本当なんですか、
「残念ながら、奴の
「他にも候補は幾つかあるが、貴様が一番次の器に
貴様の肉体でならば、かつてギリシャで使用した、最高期の肉体にも勝る性能を発揮出来よう 」
ゼウスは玉座から立ち上がり、杖を
「貴様の肉体は、余の
今こそ返してもらうぞ! 」
杖の先から、
それに一人だけ反応し、
「ほう、余の
本気ではなかったとはいえ、見事だと
「無事か、
深明は、後ろの
「先生こそ!
俺を
「アースの要領で地面に流したから、ダメージはない。
それより、
お前は、何のためにこの旅に出た? 」
その言葉を聞いて、
「両親に会って、本当の名前を聞く事です! 」
「ならば彼を倒さなければ、そのどちらも叶わない 」
「俺は、俺の願いの為にゼウスを倒す!
皆、力を貸してくれ! 」
大きく叫んだ。
「もちろん、最後まで
「俺も同じく、なにより自分が世界の中心みたいな態度が、気に食わねえ! 」
四人が並び立ち、ゼウスに
「よかろう、いくら群れようとも神には届かぬ事、思い知らせてくれるわ! 」
ゼウスは、杖により大量の電流を流し、一層強力な
その隙に、
「もう少し踏み込めば、当たっていたものを。
あの人間の技を、お前も
二人と放電の鍔競り合いをしていてなお、まだこれだけの反撃を行う余力がある。
その事実に、
「そも、何故貴様らは余の邪魔をする?
余が
ゼウスが杖で地面を突くと、強力な磁場が発生し、四人が吹き飛ばされる。
壁まで吹き飛ばされた彼等に、ゼウスは追い打ちをかけるように
しかし、
「あなたの考えは間違っている!
人間に
正一は叫ぶ。
「俺は元人間だ。
以前は
お互いに、理解し合い歩み寄っていくべきなんだ 」
「人間も
上下関係を作ろうというあんたが正しいとは、どうしても思えねえ 」
「分からず屋どもが。
いいだろう、余の全力の
今までに無いほど強力な電流が、樫の杖に流れ込む。
同時に発生する強力な磁場の反発により、
「精々消し飛ばぬよう、全力で耐えてくれよ?
特に、余の次の器が消し飛んでは、
四人は集まって、
「我ら、互いに目的は違えども! 」
まず口上を述べたのは
「ここに集い、共に戦えた
次の口上は、
そのプラズマ球は、加速的に大きさを増していく。
「ならば、我ら命を
三人目は
今までにないほど巨大化したプラズマが、青く
「今こそ力を一つに、最後の技を放とう! 」
最期の口上は
そして、三人がそれを支える様に、権の右腕を持つ。
あまりのエネルギーに、杖は赤熱し空間が
「
「
永遠とも思える拮抗が続く。
そして、段々と
「あり得ぬ!
幾たびも転生を重ねてきたが、一度たりとも余の本気の
ゼウスが、この戦いの中で初めての焦りを見せる。
「あり得ないなんてことは、あり得ない! 」
「一人では弱くても、共に協力し合い、より大きな敵を破れるのが人間の強さ!
それを認めた俺たちは、その力を手に入れた!
だが、あんたは人間を見下したがゆえに、個の力でしか戦うことができない! 」
「それが、あんたの敗因だ!
古い怨霊は、いつまでもこの世にしがみつかず、世代交代を受け入れろ! 」
「いやだあ、死にたくない!
余にはまだ、やるべき事がーー!」
ついに、
この世の物と思えない絶叫と、
それが消えた時、ゼウスの体は地に
「父さん、しっかりして、父さん! 」
権が、彼の体を揺する。
「……何故、私の人格がある? 」
その人物が目覚めて最初に言ったのは、その言葉だった。
「ゼウスの人格が消え、元の人格が戻ったのだ。
安心しなさい、彼の命に別状はない 」
「もしかして、私の息子と貴方たちが、ゼウスを滅ぼしてくれたのか?
ありだとう、息子の成長を見ることは無いとばかりに考えていた 」
彼は、事情を察して
「置いて行ってごめんな、こんなに大きくなってくれて、嬉しいよ 」
「あなたの手紙、俺の名前だけ分からなかったんです。
あなたの口から、教えてください 」
「ああ、何度でも呼ぼう
お前の名前は__ 」(Nameless Hero 完結)
Nameless Hero~無名の少年、権の英雄譚~ 牛☆大権現 @gyustar1997
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