幸運の男
男は、幸運続きの人生を送ってきた。
生まれてから40年ほど経つが、これまでずっと幸運の連続で、ほとんど不幸な目に遭うことはなかった。
受験では自分の実力以上の一流校に全て合格したし、自分には釣り合わないような誰もが羨む素敵な女性とも結婚できた。
宝くじや景品はよく当たり、勝負事にはめっぽう強かった。
周りの人間に恵まれたおかげか、仕事は常にうまくいき、順調に出世を続けた。
幸運の星の下で生まれたという言葉がこれほど似合うのは、この男以外にいないだろう。
しかし、ある日を境に、男の身には不幸な事ばかりが起こり始めた。
仕事はうまくいかず、家族ともうまくいかず、大きな病気や怪我もするようになった。
「急にどうしたというのだ。良いことが何一つとして起こらない」
男は次第にギャンブルにのめり込み、多額の借金を抱えた。
こうして男は現在、次々に襲いかかる不幸に苦しみ続ける生活を送っている。
そんなことは知る由もない天界の神様はこう呟く。
「これまで、人間達には幸せな者と不幸な者の間で激しい差があった。わしはこの差を埋めることで平等な世界を作ろうと思い、全ての人間が一生で同じだけの幸運と不運を受けられるような仕組みに世界を作り変えた。これで、誰もが平等な素晴らしい世界になったことだろう」
アスパラ星人 東山九郎 @higashiyamakuro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。アスパラ星人の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます