ぼくらの生きるこの世界を

希丈 彩

序章

ぼくらがまだちいさな子どもだった時の話をしようか。

あの頃のこの国は平穏というべきだろうか、静かだった。

特に田舎であるこの町は、小鳥がさえずる声や風が緑を染める音が響くほど。

魔法は自分ではない他人を救うために使われていた。

その人々は穏やかで喧嘩などはいっさいなく、知らない人とも助け合い共存していた。



そんなこの国は、ここ10年で変わってしまった。

人々は自分が一番という考えになり助け合うことが無くなった。

魔法は他人のためではなく、自分のために使われている。

世界は魔法によってできた、まとまりのない建物や無法地帯のような町を作り上げた。


この田舎の町も例外ではない。

あの頃の人々のぬくもりはなく、困っている人さえも見ないふりをしている。



この話はそんな社会に疑問を抱いた僕らの物語である。

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ぼくらの生きるこの世界を 希丈 彩 @Sari3613

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