EX.十六歳だった頃の叫び 『黒ノ都』

【作品情報】

『黒ノ都』 作者 姫乃 只紫

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054919328175


【紹介文】

 読解難易度:HARD

 作者が十六歳の折にしたためた叫び。「02『Strawberries and Cream』」以降ほぼ残酷・暴力描写しかないため、苦手な方は読まないでください。


◆十六歳だった頃の叫び

 十六歳の頃、人生が一周しかないという現実が耐え難くてですね。

 シンプルに「何云ってるのこの人?」と思われているやもしれませんが、多情な時期こういうどうしようもないことを思い悩んでいたのって絶対私だけではないと思うのですよ。思春期だからこそ、そういったことに脳のリソースを存分に割けると云いますか、ある種の通過儀礼イニシエーションみたいなものではないかと。

 自分なりに理想──かどうかはともかく妥当とする死に方は一応あって。けれど、一つには絞れなかった。


 現実で一周しか生き抜けないなら、せめて架空の世界で何十何百と生き抜いてやろう。


 格好良くなくてもいいから、悪くないと思える死に様晒してやろう。

 そんな思いを形にしたのが件の作品──『黒ノ都』にござい。

 それゆえの十六歳だった頃の叫び。


◆「葛城 陽」といういじめの被害者

 所謂異世界転生モノに疎いのでどうしても勝手なイメージになってしまうのだけれど、「前の世界では何だかパッとしない人生だった。だから、転生後の世界では絶対幸せになってやる!!」みたいな誓いを胸に行動する転生者が多いように思うのです。

 パッとしないレベルならまだわかるのですよ。ただ、中にはガッツリ虐められている、手酷い裏切りに遭っていながら、「次こそは必ず!!」みたいなマインドセットの転生者いるじゃないですか。いや、これまでさんざん虐げられてきた人が、そう易々と人生リセットしたくらいで幸せのために動き出せるの? という疑問が私の中にそもそもあって。


 本当に虐げられて骨の髄まで無気力を学習した人間が「転生後は幸せになるぞー(^^♪」と思い至るのって相当厳しくないかと。


 だから、「この世の誰より自分が嫌いです。僕は自分を虐げてきた連中よりも、無力だった僕自身が憎くて憎くて仕方がありません。よって、僕を異世界に連れて行こうとする=幸せのチャンスを与えようとする勢力は徹底してスルーします。もっと他に幸せになるべき人を当たって下さい。僕はこの地獄の底で、腐ってゆく醜い僕の最期を見届けたいのです」みたいなスタンスのキャラが一人くらいいてほしいよなと。と云いますか、いた方が違和感ないよなと。

 結果、誕生したのが「葛城 陽」といういじめの被害者でした。まあ、キャラ立ちさせるためとはいえ、やや突き抜け過ぎた感はありますが(笑)


◆「人が大勢死ぬ作品=命を軽く見ている」という発想

 と、まあそんな具合にとりとめのないことに思いを募らせながらPhase2をちまちま書いております。そんな近況報告でした。

 余談。こうした人が大勢死ぬ作品って「命を軽く見ている」として、時折批判の的になったりするのだけれど、傾向としてはむしろ「命を重く見過ぎている」ケースの方が遥かに多いのではないかなぁと思っていまして。


 だから、人が大勢死ぬ作品自体を批判すること自体は構わないのだけれど、その理由として「命を軽く見ているから」を挙げちゃうのは些か安直だよね──などと思ってしまったり。


 踏み込んだこと云うと、命重く見てても人って人殺しますからね。と思い込んでいるから殺すわけで。「いや、コイツなんか殺したところで何も変わりはしねぇよ」と軽く見てたら殺さないじゃない? そういうことですよ。

 ではまた~。

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