批評を書くとき心がけているポイント一選【そのアドバイスに未来はあるか】
『蝉男』 作者 saw
https://kakuyomu.jp/works/1177354054918947692
上記作品に感想を書かせていただきまして。私、
「一人称小説の表現にアドバイスする前に思い出してほしいこと」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054896176243/episodes/1177354054896707369
──どういうこと? と思われていそうなので以下説明。これは上記リンク先でも触れたお話なのですが、表現に対するアドバイスってはっきり云って困るのですよ。大半次に活かしようがないから。
たとえば、「美少女」の無条件否定とかね? これ、作者側があからさまに手を抜いて、ここに「美少女」という単語を置いたのだろうなぁ──と読めるのであればいいのですよ。何となく察した上で「ここ拙くない?」「書いたとき疲れてた?」とツッコむ分にはまだいい。
ただ、対象を「美少女」と表現とした"語り手"の語彙力とかパーソナリティとか置かれていた状況とか、そういった背景一切無視して「美少女=拙い表現」という正義のもとツッコミ入れちゃうのは流石にどうなのというお話。
これ酷いのが、この手のアドバイスをしてくる人ってフツーに巧いの(笑)経験則だけど、巧い人が多い。だから、ご指摘もらった側は「これほどの作品を書く人がくれたアドバイスなんだから、多分正しいんだろう」と思い込んで、自分なりに心血注いだそれをあっさり修正しちゃったりするの。
断言します。これを改善とか推敲とは呼びません。
事故です。
これは紛うことなき、事故。
もちろん、次に活かせるタイプのアドバイスもあって。たとえば、他人の顔をまともに見ることができない、おしゃべりしている間も見ているのは相手の靴の汚れや靴下のたるみ具合だけみたいな設定の主人公が、初対面のヒロインのまつ毛やら眼の形やら
これだとアドバイスもらった側は「云われてみると、自分の描写は語り手の要素を考慮できていなかったかもしれない。よしっ、次に活かそう」となるじゃないですか。
今回私がsawさんの作品に書いた感想も、アレ指摘した箇所を直せじゃないのですよ。この感想を頭の隅っこにでも置いておいて、次また作品を手掛けるとき、「そういえばこんな見方もあったなぁ」と思い出してもらえればそれでいいんじゃないくらいのノリなのです。
ここが悪いからここを直せではない。作品単体に限定されるタイプのアドバイスはしないから。
こういう書き方をするのであれば、恐らくその方針はこれ以外の作品にも活きているだろうから、こういう見方を加えてみるのもまた面白いかもねという、一つの視点の提供だから。
小説投稿サイトだからね。互いの作品を批評し合うことだけが成長に繋がるみたいな、そういうストイック精神も良いとは思うのですよ。健全っぽくて。ただ、殊更自分ベースラインより巧いだろうと思っている書き手ほど、アドバイスするときには気をつけてほしい。そのアドバイスに未来はあるか。あなたの批評事故ってませんか? ではまた!
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