第三回 遂に始まる予定調和ハーレム
翌日。孝司の隣の席に友則はいなかった。
正確に言えば、風邪をひいて欠席したらしい。
中学に入ってから昨日に至るまで一度も学校を欠席したことのない友則が欠席するという事態に、孝司らはかなり衝撃を受けていた。
それはさておき、彼の欠席によっていくつか問題が発生したのである。
まず一つ。今日の小テストのカンニングができない。
孝司はいつも小テストなどは友則のものを拝借させていただいていたのだが、いないとなると事前勉強を一切していない孝司にとっては致命傷だ。
しかも今日の小テストは月に一度の特別なテスト。まぁ簡単に言うと合格点を下回れば居残り学習のペナルティがある。なんともひどいタイミングで休んでくれたもんだ。
そしてあともう一つ。今日は友則が所属している新聞委員会の仕事がうちのクラスに割り当てられている日だった。この場合、担任が代役を指名することになっているのだが、
友則の隣の席、かつ仲がいい、かつ自分の委員会活動をさぼり続けている孝司が真っ先に指名されることを皆大体予想がついていた。
◆◆◆
「んーじゃあ代役は紺野な、今日の放課後図書室にいつでもいいから顔を出すこと。わかったね?」
やっぱりか…と言わんばかりの空気がクラスに立ち込める。
「はい…」
「じゃあ朝礼終わり。起立。礼。」
先ほどの担任への返事に孝司の憎悪の色がにじみ出ていたことは言うまでもない。
だがしかし、朝礼が終わった今はそんなことを考えている暇は孝司にはなかった。
「えーと、blame blame blame astonish astonish astonish……」
そう。次の時間は英語。もう小テストがあるというのだ。
単語を読み上げながらひたすらノートに書きなぐる孝司だったが、焦りでなかなか覚えることができない。危機的状況だ。
「disaster disaster disaster victim victim victim……」
…
…
「fatal fatal fatal mortal mortal mortal……」
ん、この声は。なんともう一人いた。
そのとき孝司は気付いていなかったが、彼の席の二つ前にも同じように焦って単語帳を読み込んでいる女子生徒がいたのだった。
…
…
…
「はい~終了~。後ろから回収しろ~」
「ぐ、ぐぬぬぬ…」
結局のところ合格点には5点足らずまんまと居残りを課せられてしまった孝司は、
居残り→図書委員というハードなスケジュールを放課後に組まれてしまうことになる。
◆◆◆
「じゃあ居残り終了―。次はしっかり勉強してくるように。」
「はーい」
皆の返事に明らかな疲れが滲む。
「ったくもう…あのバカ教師…」
この日の居残りは先生の無駄話が続いたせいでいつもよりかなり長引いたようだ。
この後図書委員の仕事なんてしていたら、帰るのは暗くなってからになるだろう。
孝司は一刻も早く仕事を片付けようと図書室に急いでいた。その時だった。
「あれ…?」
孝司は後ろから駆けてくる人影に気付いた。
「清水…さん…?」
清水愛紀。クラス一番の優等生。素行も成績もパーフェクト。清楚な美少女、という感じだ。
そんな人が居残りにいたことに孝司はかなりの衝撃を受けた。
「なんでここに清水さんが…」
そうこうしているうちに図書室にたどり着いたのだが、もう図書委員は誰もいないようだった。
「あなたえらく遅かったわね、なにしてたの?」
気付けば図書委員担当の皆川先生が息を切らしている孝司をあきれ顔で見る。
「い、居残りで…遅くなりました…」
皆川先生が孝司に何か言おうとした瞬間、ガラガラっと扉が開く音がした。
「はぁ…はぁ…遅くなってしまって申し訳ありません!」
入ってきたのはやはりさっきの清水さんだ。ずいぶん息が上がっているように見える。
「あら、あなたも居残りだったの?」
「は、はい…」
「仕方がない子たちね、あなたたちにはしっかり働いてもらいますからね。」
あからさまに面倒くさそうな顔をする孝司を皆川先生が睨みつける。
それとは対照的に、清水さんはシャキッと返事をした。
「はい!」
「よろしい。じゃあまずは今日の分の雑用ね。」
「はーい…」
この時からすべてが始まったことに、まだ孝司は気付いていなかった。
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[作戦決行開始しました。] 5:10
[いやぁ、途中は作戦変更じゃないかってひやひやしたわ。] 5:11
[ターゲットが頭良すぎるんですよもう…] 5:12
[とりあえず今は次だわ。作戦通りね。] 5:14
[了解。配置につきますね。] 5:15
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予定調和ハーレム~お望みのハーレム作り承ります~ @karesame
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