第二話 予定調和ハーレム準備回2
いつもの会話。結局孝司にはこの二人と話す時間が一番楽しいのかもしれない。
ただしこの後家に帰りながら、自分が成り行きで好みをタイプを暴露しただけだということに気付き、かなりの後悔をする孝司なのだった。
◆◆◆
「クッハァ…」
孝司は風呂から上がり、冷蔵庫から出したばかりの冷えた牛乳を喉に通す。
ちょうど二口目を飲もうとしたところで、玄関で物音がした。
「ただいまーーぁ!」
「おぉ、父さんおかえり。」
孝司の父は、毎日決まって6時に帰宅する。
収入もかなり安定しているらしく、何不自由なく、いやかなり富裕層な生活をしているのだが、一人息子の孝司であっても彼が何の職業についているのかは知らないのだった。
「父さん今日はなんか気分がよさそうだね。」
「おぉ、わかるか、ちょっといいことがあってなぁ」
「お、何があったんだい?」
「それは教えられない。企業秘密って奴よ、ははは」
普段飲まない酒でも飲んで来たのか、今日はやはりかなり上機嫌だ。
「今の父さんならこれ聞いてもいいかもだな…」
上機嫌な父を見て、どういう思考回路をたどったのか、孝司はどうやら突拍子もないことを思いついたようだ。
「ねぇ父さん、父さんはハーレムを作ってみたいとか思ったことはあるかい?」
孝司の急な問いかけに父はかなりぎょっとする。
まぁ無理もない。孝司は今の今まで女や性欲の影すら親に見せてこなかった純粋ピュア男子(の設定)の息子から急にハーレムなんて単語が飛び出したのだ。
「ど、どうして急にそんなことを聞くんだい孝司…?」
父は細い目を最大限見開いて孝司を見た。
「い、いやぁね、父さんでも男だし?そんくらい思うことあるのかなぁと…」
いざ父に動揺されると自分がかなりやばい質問をしたことに気付き、孝司の背中には冷たい汗が伝う。
「あ、あぁそうだな、父さんだって昔はそんなことばっか思ってたぞ、はっははは」
なにか誤魔化すような返事をして父はそそくさ風呂場に逃げていった。
一方の孝司はどうも父は軽く流してくれたらしいと思い、一安心している。
ただあまりの父の慌てように、やはりどうも違和感を覚えたようだ。
「わかったぞ…あの人…昔はかなりのオオカミだったのか…?」
駄目だこの親子。どんな思考回路してるんだ。
孝司はすっかりぬるくなってしまった残りの牛乳をグイっと一口で飲み干した。
孝司のフラットな学生生活をガラリと変える出来事は、この翌日から起こり始める。
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10月1日 とあるグループチャットにて
[調査用紙、記入済みましたか?] 21:17
[あーはい、完了しました。] 21:25
[了解です。では事務所の方に今週末提出してくださいますか?] 21:28
[わかりました。] 21:30
[決行はいつぐらいになりそうですか?] 21:31
[詳細は分かり次第追って連絡しますが、予定では来週中には始める可能性が高いです。] 21:35
[わかりました。よろしくお願いします。] 21:36
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