第203話 久しぶり!の件

白髪の大男がこちらに体を向けながらサングラスを外した。


「────久しぶりだな」


────なんだコイツ?俺の方に向かって言ったぞ?

初対面なのに久しぶりだって?

────いや、待てこりゃあれだ、俺に向かって話してるかと思いきや、俺の後ろに居る誰かに向かって話しかけてるやつだ。

………危ない危ない。反応して恥をかくところだった。

────また俺の走馬灯のネタが増えるとこだったぜ。


────すると俺の近くに居た未知博士が白髪の大男に飛びついた。

「────おかえりなさい!お父様!」


────ほらな、反応しないで良かったぜ。

………って言うかお父様!?

この白髪の大男は未知博士の親父なのか?


「────待て待てみーちゃん、まずはそちらのブルー君に挨拶させてくれんかね」

未知博士が白髪の大男の腕に絡みついて甘えている。


────ぷぷっ!みーちゃん?

みーちゃんって言ってたぞ、みーちゃんだって!!

────ふふふ、未知博士をからかうネタ見つけたり!!

そう思いながら生暖かい目で未知博士を見つめていると、白髪の大男は腕に未知博士をぶら下げたまま俺の前に歩いてきた。


「────久しぶりだな、ブルー君」


「は?」


「────何年振りだろうね?」


「────は?初対面だが?ボケてんのか?」

………あ、初対面の人にスーパードライな言葉が出てしまった。

場の空気が凍ったのが、空気の読めない俺にもはっきりわかったぞ。


「────ボケてなんかないさ、」


「────ボケ老人はみんなそう言う」

────あ〜!また出てしまった!

────バカバカバカ!俺のバカ!

もしかしたら俺が覚えてないだけで凄く昔に会った事あるとかあるかもしれないのに!

………そう、例えば小学校の先生だったとか、昔住んでた家の隣の隣の隣位に住んでたボケ老人だとか?


────基本俺は知り合いが少ないから、本当に知り合いなら覚えてるんだけど、転校しまくってたから先生とか近所だった人なんかは全く覚えてないぞ。

それに自慢じゃないが、人の顔と名前は基本生きてくうえで最低限しか覚えないぞ。


「────ハッハッハ、まぁ、ボケていてもおかしくはない歳だがな、生憎とボケには縁遠い人種に生まれてるんでな!」


「────じゃあそれなら人違いだな。お前は勘違いで初対面の俺に馴れ馴れしくしてしまったようだな。今日布団に入って寝る前に自分の行いを思い出して恥ずかしがれ、そんでもって赤面しれ。」


「────ハッハッハ、ブルーは変わらないな!」


「────変わらないなって、俺の何を知ってるんだよ?………一億万歩譲って前に俺と会ったことがあるとして、いつどこで何時何分何秒に会ったってんだよ!?」


「────そうだなぁ、前に会ったのは百年以上前になるかなぁ」


「────つまらん冗談だな。ジジイの冗談は笑えないぜ。ちなみに俺はまだピチピチの二十代だ」


『────あぁ、この格好じゃわからないよな、ごめんごめん、忘れてた。』


突然白髪ジジィの声がボイスチェンジャーを通したようなノイジーな声に変わった。


『────ちょっと待ってて』

白髪ジジィがそう言うとジジィの顔面にスーッと線が入ると顔面が真っ二つに割れた。

次々と顔や体に線が入り、体のパーツが横にスライドしてから扉の様に開いていく。

スライドした部分からは様々な金属製のパーツがみてとれる。

今や白髪ジジィは生物とはかけ離れたモノになっていた。

そして、さっきまで白髪の大男だったモノの中から小柄な少年が現れた。


「────やぁ、これなら久しぶりって言ってもわかるかな?」


現れたのは、あの大正時代にタイムスリップした際に色々とめんどくさい関係になった宇宙人────土砂河原どしゃがわら改めショタ坊だった。







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戦隊モノの青にされたけど俺以外は敵に寝返った件 観音寺 和 @kannonji

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