第4話 5人目の転生者
「ここで、いいのね?」
私は
なんだか申し訳ないな、と管理局の人に思った。
今入っているマンガは「転生生活始めてみた。」という題名のものらしい。
こんなもの読む人がいるのだろうか。そう疑問を持ちつつも意を決して入ってみることにした。
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「ガチャ」
ドアのノブは金色で、いかにもお金持ち、という感じだった。部屋の中は1LDKで
一人で住むには少し寂しすぎる気もしたが、結局部屋に籠っていればあまり変わらないのか。
主人公に挨拶をしたほうがいいのだろうか。名前は...
「ベン」だと聞いたが、どこに住んでいるのだろうか。
住人なら知っているのだろうか。でも住人は彼が主人公なんて思っていないだろう。
どちらかというなら、むしろ自分が主人公だと思ってもおかしくない。(そもそも自分がマンガ内の住人なんて考えたこともないのだと思う。)
一度手荷物を整理したら外に出よう。
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「すみません」
まず言葉が通じるかと思ったが、世界中で言語が統一されていて作者の人も私が住んでいる地域の近くらしいから方言とかは大丈夫なのだろう。
「はーい?」
上品な雰囲気をまとったお姉さんがこっちを振り向いた。
「あら、こっちでは見ない服装ね。お嬢さんどちらからいらして?」
「えぇっと...」
タンスに服を用意してもらったのに、着替えるのを忘れていた。
まさか3次元から来ましたなんて言えっこない。
「あぁ!分かった!あなた転生者さんなのね!」
心を読まれたようで驚いた。なぜ分かったんだ?
「なんで分かるんですか?」
「あのね!」
お姉さんは言った。
「ここには4人の転生者さんが住んでるの。5人目の転生者さんがあなたよ」
そんなにいるんだ... 特定第3号権(2)がもらえるのは、一緒に天界へ行っていない医学者や化学者の子供だと聞いた。その人たちも同じ境遇なのだろうか。
「みんな、ベンくんに会いたいと言っていたの。あなたもそうでしょう?」
「えっ、ええ」
そうなんだけど、みんな同じ行動を取っているのか。
まあ何をするのも自由なんだけど、マンガなんだから主人公に会いたいと思うのは当然なのだろうか?
「ベンくんならあの緑色の屋根の家、と言ってもわからないでしょう?ここは緑色の屋根の街なんだから。はははっ」
お姉さんは高らかに笑った。確かに外に出ていきなり、屋根が緑で驚いたのは
事実だ。
「あ、あの」
私は笑うお姉さんを見て言った。
「なぁに?あぁ、言うのを忘れてたいたわ!ベンくんがいるところなら、ここに行けばいいわ」
お姉さんは私にメモを渡す(住所が書かれていた)と、“
ウインクして立ち去った。ここはそんなに危ないところなのか?若干冷や汗が出たのは気にしないでおこう。
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『◎△$♪×¥●&%#?!』
お姉さんの字が汚すぎて読めなかった...
異世界転生なんてありえないなんて思ってたら、異世界転生系マンガの主人公と冒険することを勝手に決められた話。 ain @ain17
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