抜群の記憶力で指名手配犯を続々逮捕していた刑事が死んで、武術や仙術が存在する世界にコウという名で転生。奉公人となり名家の坊ちゃんの世話をする仕事をしていたけれど、坊ちゃんが神仙修行に出たのに付いて行く。坊ちゃんは内弟子だけどコウは雑用係の外弟子からスタート。そんなハンディをものともしないで、凄い記憶力と大人並みの理解力で難しい仙術を覚え、鍛錬にも励んで強くなっていく。コウを見下していた坊ちゃんや、外弟子だからと見くびっていた先輩道士たちが驚く様子がとても痛快。妖魔の鳥や狼を捕らえて羽毛布団や毛皮の材料にして稼ぐ才覚も実に頼もしい。そんなコウが強さを認められて内弟子になってからの日々が、『不死を求める者、これを道士と呼ぶ2』(ドラゴンノベルス)として書籍化されます。今度はコウが新入りの外弟子たちを鍛えて強くする楽しさと、コウ自身が前世の知識で画期的な宝具を作って師匠を驚かせる喜びを味わえます!
(すごい修行にチートも乗っけて武術を極める主人公たち4選/文=タニグチリウイチ)
WEB小説のファンタジーは同工異曲と、もし食傷気味な方がいたら、ぜひ読んでいただきたいのが、この物語!
警視庁捜査2課の熱血刑事だったはずのコウが、仲間にハメられて転生した先は、どうやら古い時代の中国風の世界。それも、しがない商人の五男坊として生まれてしまい、口減らしのため、下働きとして奉公に出なければならない運命。
ただ、そんな地を這うような生活のなかでも、コウは持ち前の野心と向上心で、新しい知識を貪欲に吸収していきます。
この世界では強くないと生きていけない――。
しきたりが重んじられ、そもそも、下男が宗門の入門資格を得ることだって、簡単にはいきません。ましてや、道士になる才能がある者は、一万人に一人ともいわれるほど。更にそのなかから、天の試練を生き延びた者だけが、神仙、あるいは不死者と呼ばれる存在になることができる、という途方もないピラミッド型の狭き門なのです。
主人公のコウは、次から次へと襲いくる試練の洗礼を受けながらも、鍛錬を怠らず、仲間と助け合って着々と修行を重ねていきます。初期段階である煉気期を経て、この先も霊成期、結丹期、元嬰期、と順々に進化していく壮大な構想があるとのこと。
コウ自身も、きっと、さらなる内面的成長をとげながら、めざましい自己形成をしていくことでしょう。そういう意味では、本作は血沸き肉躍る仙侠小説であると同時に、極上のビルドゥングス・ロマンでもあるんです!
細部まで入念に練りこまれた設定と、堅牢な世界観によって、中国の唐王朝時代を彷彿とさせる物語に身を浸し、縦横無尽に遊ぶことができること請け合いの本書。
さあ、旅はまだ始まったばかり。
神仙への長い長い道のりの伴侶として、ぜひ、あなたもその行く末を見届けてください!