20歳
最後に思ったことは、月がいつも尖り落ちてしまう悲しさだった。高層ビルに身を映しては、ガラス窓へ泣きつくように。電波塔に貫かれては、地球へ逃げ込もうとするように。毎晩のように布が舞い散る衰弱は、20年の博物誌として保管された。
銀河の網は真鍮製で、太陽のインクは普遍的で、月の六角形は小さな心臓だった。
虚弱な鼓動に宛てた手紙は、返す相手もいないまま、形を留めて風に乗る。
存在しない孤独は、月にだけ与えられた言葉。地球の路地は知らないふりをしているから。地球の路地は一度も泣いたことがないから。地球の路地に置かれたひとつの石でさえも。
あの小さな部屋は……
子供の記号 フラワー @garo5
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