16歳
置き時計の影に紫陽花が咲いた。歯車の動くたびに花も揺れて綺麗だった。短針が花を削ぐたびに、机の上に積まれてゆく贈り物。昨日の夜に飲んだ薬のように、身体の中に解けて欲しい。床まで落ちた花束の夢は、空が優しく動いた証明みたいに残される。
新しい朝の陽射しは嘘をつく。隣にいた子が忘れていった処方箋のように、時計の裏には季節の課題が忘れられていた。
時間 現象 蒼空
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