この作者様の人間の描き方は、非常に勉強になる。
擦れた中学教師「秋田葉太」は、教師生活に「飽きたようだ」と独り言ちするほど、かつての情熱が思い出せないでいる。それに焦りも感じていない。GWに入るにあたり、ようやくその喧騒から開放されると感じるほど。
そんな葉太が、偶然出会い、悩みを打ち明けてきた春川桜子に、どう接していくのか。
そしてどんな最後を迎えるのか。
読者を裏切る展開。無駄のない構成と筆致。過装飾を避けながら、葉太の見る世界を描ききる筆力。
どれをとっても高水準でまとまっており、それでいて読者の胸に何かを残していく力量と感性に感服。
作品単体としても短編として素晴らしいが、書き手にとっても、多くを発見できる作品だろう。