第3話 そして七夕当日

「ララ~」

「ニャーン」


 あれから数日後、私はララが再び喋らないか試している。


「私またララと、お話がしたいなー」

「ニャーン」


 しかし、どれだけ私が話しかけてもララは甘ったるく鳴くだけ。もしくはゴロゴロ。

 やはり猫は気まぐれ……。

 でも、それ以上にララは良い子だと改めて気づいた。私を大好きでいてくれていることも。

 私が書き上げた短冊を見て、すぐに願いを叶えてくれたララ。何て優しいんだろう。部屋を宇宙っぽくしたのも、よく私が宇宙猫の画像を見て大笑いしていたことを知っていたからだ。


「ララ、ありがとう」


 私はララに、いつもより豪華なおやつを出した。今日は七夕当日。そして……。


「ララ、七月七日はサマーバレンタインって知っているかな? 大切な子に贈り物をする日なんだよ」


 私が説明すると、ララは「ニャー」と返事をした。猫ちゃん相手に何を言っているんだか。私は片付けをしようと立ち上がり、ララに背を向けた。


「ありがとう、ニャオミちゃん」

「えっ?」


 お礼の言葉が聞こえて振り返った私。けれどララは何もなかったかのように、おやつを食べていた。


「……どういたしましてっ」

「ニャアン」


 笑いながら言葉を返すと、やっぱり今度は鳴き声が聞こえてきた。

 次にララと話せるのは、一体いつになるだろう。

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ご主人様の為に、一肌脱いでみた猫 卯野ましろ @unm46

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