幕間1

あの戦いから1か月がたった。私たちは今、ネルティエルターナにいる。


あの日、ヒュドラジアの侵略を受け、私を取り巻く世界は一変した。


鈴城将兵。大学生の時に出会い、思いを寄せ続けてきた男性ひと。居心地のいい関係、それを壊すのが怖く告白をできずにいた私は、すべてを失ってしまった。彼と共に過ごす未来を……、手に入れていたかもしれない幸せを……。


私は知らなかった。思いを寄せていた彼が、将兵が世界を救ってきたヒーローだったことを。彼が背負った苦しみや悲しみを。その業を。


私は知らなかった。そんな彼をずっと支えてきた彼女ひとがいたことを。2人の間には強い絆があることを。


私は知らなかった。将兵の想い人を。それが世界の歌姫と称される御堂明日香だということを。そして、彼女が婚約者だということを。


私は知らなかった。御堂明日香が将兵の心を護る為に歌手になったことを。そのおかげで将兵が将兵のままでいられたことを。


あの日から毎日夜になると欠かすことなく、私のもとに御堂明日香が訪ねてきている。決して部屋に入ることなく、私を励まそうといろいろな話を扉越しに話しかけてきた。


しかし、今の私には彼女の話は一切受け入れることができなかった。


なんで彼がいないことを悲しまないのか。なんで彼がいないことを受け入れているのか。なんで彼が生きていることを信じているのか。なんでそんなに強いのか。彼がいないのに何で…なんで…ナンデ………。


――――私の世界は彼のいない世界となった。




















ある日、そんな私の絶望に染められた世界に再び光が差し、世界が一変した。





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ラストステージ @lmv314

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