女子校探偵ホームズ〜僕と彼女を繋ぐ三つの暗号〜

#5最後の暗号と回答

　答えはすぐに決まったが問題を作るのが難しい。

　彼女が楽しめ、かつ簡単すぎない問題を考えないといけない。

　ある時頭の中で電球が灯った途端、スラスラと問題が出来上がった。

　僕は最後の問題を送ってから、手元にあるコピーを見た。

　ヒント↓J→5＝ん

　↓A→1、↓A→2、↓C→2、↓D→4、↓I→3

　今回は頭が熱暴走するほど負荷をかけて考えたけれど、彼女なら一日で解読してしまうだろう。

　暗号は問題なく届いた筈なのに返事はなかった。

　彼女が退院する前日。待ち望んでいた電話が掛かってくる。

『……もしもし』

「ホームズ。遅いじゃないですか」

『ごめん。ちょっと手間取っちゃった』

　少し歯切れが悪い気がする。

「暗号解けたんですね」

『ああ。言わなくても問題用意してるよね』

　ヒント↓J→5＝ん

　↓A→1、↓A→2、↓C→2、↓D→4、↓I→3

『ヒントから推理するに、↓の矢印はあかさたなに対応して↓Jはわ行、→の矢印はあいうえおに対応しているから→5はわ行の五番目つまり『ん』になる。この方法で暗号を解くと……』

　正解を言うまでしばらく間があった。

『あ、い、し、て、る。愛してる』

「お見事です」

　突然電話が切れてしまった。

　もう連絡は来ないと思っていたら、彼女からメールが届く。

　↓A→1、↓E→5、↓F→2、↓D→5、↓ H→5、

　↓I→2、↓A→1、↓A→2、↓C→2、↓D→4、

　↓I→3

　暗号表で解読する。

　 → 1 2 3 4 5

　↓Aあいうえお

　↓Bかきくけこ

　↓Cさしすせそ

　↓Dたちつてと

　↓Eなにぬねの

　↓Fはひふへほ

　↓Gまみむめも

　↓Hや―ゆ―よ

　↓Iらりるれろ

　↓Jわ―を―ん

「……あの婦人（ひと）より愛してる」

　―お・わ・り―