第3話 きらきらとした何か

家に着いてから自分の机で盆栽を眺めていた

おじからもらった盆栽はとても美しかった

きちんと手入れされて緑色が輝いていたし、苔を初めて綺麗だと感じた


(本当にきれいだな、、、)



そう思っていたときに、お母さんが部屋に入ってきた


「ソラ、これどうしたの?」

「おじさんに持たされた」


お母さんは僕の言葉は聞かずに、手を伸ばした

「この盆栽には実がついているのね、めずらしい!」


サクマドロップスくらいの実が盆栽についていた

透き通ったような黄色で、かすかにレモンのような匂いがしていた

そっと指で触れた


「お母さん、これおじさんから受け取ったんだけど、本当はとても嬉しかったんだ。なにかを育てたことってないし、美しいものって心惹かれるよね」

「そうなのね、よかったじゃない!」


いつも明るいお母さんの声がより一層明るくなった



僕にはわかってた

いつも何を考えているのかわからないと言われる僕が、嬉しそうにしていたのがとても嬉しかったんだと

自分でもなんで考えていることをちゃんと言葉にできたのか、わからない

でも、久しぶりに嬉しいことを嬉しいと言えた




僕の普通の日々がどんどん変わっていく音がした

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ココロのなる木 加賀律 @ruchokar

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