第3話 きらきらとした何か
家に着いてから自分の机で盆栽を眺めていた
おじからもらった盆栽はとても美しかった
きちんと手入れされて緑色が輝いていたし、苔を初めて綺麗だと感じた
(本当にきれいだな、、、)
そう思っていたときに、お母さんが部屋に入ってきた
「ソラ、これどうしたの?」
「おじさんに持たされた」
お母さんは僕の言葉は聞かずに、手を伸ばした
「この盆栽には実がついているのね、めずらしい!」
サクマドロップスくらいの実が盆栽についていた
透き通ったような黄色で、かすかにレモンのような匂いがしていた
そっと指で触れた
「お母さん、これおじさんから受け取ったんだけど、本当はとても嬉しかったんだ。なにかを育てたことってないし、美しいものって心惹かれるよね」
「そうなのね、よかったじゃない!」
いつも明るいお母さんの声がより一層明るくなった
僕にはわかってた
いつも何を考えているのかわからないと言われる僕が、嬉しそうにしていたのがとても嬉しかったんだと
自分でもなんで考えていることをちゃんと言葉にできたのか、わからない
でも、久しぶりに嬉しいことを嬉しいと言えた
僕の普通の日々がどんどん変わっていく音がした
ココロのなる木 加賀律 @ruchokar
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ココロのなる木の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます