夢の集団行動、夢の世界
夢の中で太陽が妙なことになっていた。
太陽は緑っぽい光で、太陽のまわりには光の輪が出ており、ハロ現象(日暈)のようになっていた。
日暈の輪の上に、太陽を取り囲むようにいくつか、太陽と同じように輝く大きな光がある。太陽が何個かに増えたようだ。
変化はそれだけでなく、あたりに注ぐ光や影の形もなんだか妙なことになっていた。四角や丸や三角が並んでいたり。
私は緑豊かな公園の前の道のバス停に立っており、「今のうちに写真撮れるかな?」などとクラスメートの子に向かって言いつつカメラを取り出した。バスがもうすぐ来る。
公園の前に立つ看板に不思議な光がうつっている様子を、パシャッと一枚写真に撮ったところでバスが来たので慌てて二人で乗り、後ろの方の席に座る。
窓からまだ神秘的な光が見えるのでまたパシャッと撮った。
バスから降りた私は思う。もっとゆっくり撮りたいと。
しかしそこに待ち合わせ場所から別のクラスメートが走ってきて、「行くよ」と私を急かす。
次のバス停のような所に行くと、もうみんなが集まっていた。そのまま誰かの家に行く。それは私の家にも似ていた。
二階の寝室のベッドの上に、一人のクラスメートが買ってきたマンガを並べて私たちに見せる。結構多くて何冊か並んでいる。大きいものと小さいものがあり、同じ内容のマンガをわざわざ大判と普通サイズで買っているようだった。
マンガの持ち主はそれらについて語り始める。どうも小さいのと大きいのでは表紙が違うらしい。彼女はマンガを例えにして何事かを私に語り、それとなく諭しているようだ。
私は相手の意図をよく汲み取れない。「集団行動はみんなで合わせなきゃいけないから、思い通りにならないこともあるよ。でも自分勝手なことはしちゃいけないんだよ?」みたいな感じかな。
……ここで夢が終わった。
*
夢が終わると現実の世界ではゴロゴロと雷が鳴っていた。おかげで少し早く目が覚めたようだ。
もしかしてさっきまでもっと強く鳴っていたんだろうか。それで眠りが浅くなって夢を見たのかもしれない。
……などと雷や現実に意識を合わせると夢の記憶が急速に薄れ始めたので、慌てて引き戻す。
眠っているときの体勢のまま起き上がらず、微睡みの中で夢の内容をなぞり、頭の中で言語化する。非言語の夢は放っておくと非言語の闇の中に帰ってしまうが、頭の中で言語化すれば普通の記憶に変わる。その分現実の思い込みがこのとき付け加えられるかもしれないけど。
夢の中の日暈……あれは以前日暈を見て感動したときの記憶だろう。
太陽のまわりを囲む太陽は、月を写真に撮ったときに写ったレンズゴースト(?)を思い出しているのだと思う。
あたりに注ぐ光が四角や丸や三角に見えたのは、皆既日食のときの記憶だろう。
私は皆既日食を駅で見た。残念ながら日食グラスは持っていなかったが、日食のとき地面にうつる影は三日月型になるというので影をみていた。ハッキリとはしなかったが影は確かに三日月型っぽかった。理屈はよく分からない。
……そういった自然現象を夢の中で思い出していたのだろう。
今回に限らず、「空が変化する」というパターンの夢はよく見る。
学校の集団行動の思い出は……。
私が足を止めたいところはみんなスルーし、あまり興味のないところでみんなが足を止めていたことに関係する記憶だ。
校外学習に限らず集団行動は大体いつもそんな感じで、アホな私は「みんな今ここで何をしているのかなー」などと思いつつ時間をつぶしていた。「あれもっと見たかったのにな、何だったのかな」というものもある。「これが見たい」と言わない私が悪いんだけれど。
今でも時間の関係で見たいものを見ていられず素通りすることがある。そんな悔しさから、夢の中で見た不思議な景色を「撮りたいのになかなか撮れない」という展開を生み出したのだろう。夢の中くらい好きにすれば良いのに。
まぁ今回はあまり自由じゃなかったが、いつもは心ゆくまで夢の世界の奇妙さを体感しているのだから良いか。そう思うことにする。
*
夢繋がりでふっと思い出したのは、ある夢の中でショッピングモールのような所をさ迷い歩いていたことだ。
一緒に来ていた家族がいなくなったので家族を探し回り、エスカレーターで昇りノート売場を通り、レンタルビデオ店や中古品店、おもちゃ屋のようなうす暗いところを通り……気づくと建物の高いところにあるフロアにいた。
そのフロアでは回転寿司かジオラマのようにカラフルな何かがクルクル回っていた。窓からは空が見える。
またあるときはホタルが飛び交う道を歩いて、ホタルを追っていた。
こういう道は近年夢の中でよく通る。ホタルがいることもあるし、「おかしいなぁ、このへんにいるはずなんだけど……」と探している内容のこともある。
その後神社かお寺のような所へ行って、建物や看板の裏を覗いて虫を探し歩いた。
しばらくするとロープウェイのようなものがあるところへ行き、小さな乗り物で山の上に上がった。山の上は見晴らしがよく、公園のようなものもあり、高い壁のような危なげな遊具が後ろの方に見えた。アスレチックもあった。
別の夢ではホタルの道に沿ってホタルを探し歩いているうちに、古い家屋が立ち並ぶエリアを歩いていた。これは現実の世界でホタルを見つけた場所に似ている。そういえば私の夢には車があまり出てこないような。
またあるときは旅館のようなところにいて、建物の中には、サツキとメイの家みたいな丸窓があった。
その後竹林かジャングルのようなところの上に架かる吊り橋を渡ったり、バンジージャンプのようなところから森の中に跳んだりした気がする。
その他、家の裏の公園がなくなり……というかあたり一面だだっ広い見晴らしのいい道になっていることもあった。観光地のようにみんながのんびりと歩いている。道は湖に直結しており、湖の方ではイベントか祭の用意をしている気配があり、花火も上がりそうだ。家は土産物屋になっており、私は店を歩いて棚の上や壁にある土産物を眺めて回った。
コンクリートで固められた川の側を歩いていったら、海水浴場のビーチみたいにみんなが外に集まってくつろいでいる場所が見えたこともあった。
夜に、月を見ながら家族で町の中を移動していたこともあった。
またあるときは昆虫か動物を観察できる施設の中を、家族と一緒にうろついていた。途中から屋敷のような建物の中を移動していた。
燃え盛る建物の中を、死の気配を感じつつ歩くとか、教室の中で一人の人間と生首が向かい合っているとか、部屋の窓際にある砂の入った箱の中にウサギの骨が埋まっているとか、なんだか分からないけれど「恐怖」という感情に追いかけられるような、「なんだこれは!?」と叫びたくなるホラーな夢も色々あった。実際寝言で叫んでいたかも。生き物を死なせてしまう夢も多い。
そんなこんなで、夢の中ではよく「どこかで見たような景色」と再会している。
夢の記憶は言語化すると留めることができ、別の夢を思い出しているときにフッと別の夢の記憶が蘇ったりする。夢の世界同士はどれも近くにあるようだ。
*
関連エッセイ
「夢の魚」
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