第24話 認識する
車には、社長と先生、俺が乗っていた。時刻は昼過ぎ。日差しが強い時間帯だ。社長と先生が前に乗り、俺が後ろに乗っている。
「おい、右京。お前わかってるだろうな。」
先生が言った。顔色変えず。それに対して社長が答える。
「ああ。すまない。」
社長の声が申し訳なさそうだった。」
「素質は、俺以上だ。だが、こいつはまだまだ力の使い方をわかってない。もし、こいつが対処できなかった時はどうするつもりだ?」
「………。」
社長は黙っていた。
「お前、こいつに一生消えない記憶を埋め込むのか?当人の体に悪霊を引っ張り出しても、当人の体を当人に返せなかったら、どうなる?」
「……体を本人が使えず、悪霊たちがその体を使い続ける。。。」
「わかってんじゃねーか!!そのまま、その体で死ぬようなことがあったら、その魂もこの世にとどまる。それも全身に龍が巻きついた状態だから、成仏できん。そんなこととうの昔から知っていただろう!!」
車内に怒声が鳴り響く。社長は顔を俯いている。そんな中重たい口を開いた。
「、、、俺は、見たかったんだ。こいつの力がどのくらいのものか見たかった。それだけだ、、、」
「おまえ、俺に殺されたいか?」
社長が黙った。先生が睨む。
「おい、八雲。お前もだ。」
えっ??俺?なんで??
「お前は、まだ未熟だ。それゆえにできることも少ない。それを知っておけ。無駄にいろんなことに関わろうとするな。お前はただ目に見えないものたちが認識できるだけだ。その他のことはできないと思っていろ。」
そんなこと、、、
そう思いながら三人で家路につく。そのまま家に送ってくれた。
帰り着いてからは、とてつもなく眠気が襲い寝てしまった。いつもそんな感じだったから普通に寝た。
『考え込んでいるようだな。御主よ。』
そう如来に語りかけられた。はぁ。俺の考えは丸わかりだな。
俺は、こう見えても一年以上お祓いをやってきていた。そんな中、自分なりに色々と模索し今までは何でもできると思っていた。
そう、思っていた。
でも、現実堀さんの家では何もできなかった。無力だった。
『そう思うのは無理もない。今までは思えの身の丈にあった相手しか祈祷していなかっただけだ。それはお前を利用していた人間が選別していたからな。』
そうだったのか、、、
俺は調子に乗っていただけだったのか、、、
俺は、目に見えないものを認識できるだけだ。そして、其奴らを如来や不動、菩薩の力を借りて祓ったり、強制的に命令できるだけ、、、
それだけなのに思い上がって、なんでも一人でできると、、、
『御主は若い。そしてまだ未完だ。それだからこそ、これから知識と場数を踏むことによりどんなものにでもなれる。だからこそ、焦るな。そして今を受け入れろ。良いな』
自覚しよう。俺は弱い。今はまだ、未熟で弱い。ただ、考えろ。自分にできること。
そして、人間とそれ以外のモノたちの間に立てるように、、、
そんなことを考えながら、タバコに火をつける。
EXTRAORDINARY 非日常を求めた男の話 @nyorai-no-ashimoto
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