突然の始まり

「……いってぇ!?」

 私は急に外に投げ出された。さっきまで白い部屋にいたはずなのに…

「…それにしても、この髪邪魔だな。どうにかならんのか?」

 周りをつきまとう邪魔な無駄に長い髪に、私は内心イライラしていた。

「…戦い、か…別に金が欲しい訳でもないんだがな。ただ罰金を払うのもちょっと…て言うか、罰金ってどんくらいなんだ?」

 罰金については全然聞いていない。まあ、東京の事だ。かなり多めに取るんだろう。

「…あの感じだと大阪もグルか?大阪ってあんな悪い奴だっけか…そしてこれってそもそも武器なのか…食いもんじゃねーのか?」

 私が持っているのは武器…ではなくフグだった。食いもんじゃねーか…回復してろって言うのか?それとも敵に投げつけろって言うのか?

(…いや、よく見たらこれ、生だ)

 生だった。毒入りだ。毒って…相手を殺す気か?ダメだろ…まあ、殺されそうになったときそいつに食わせりゃいっか…

「取りあえず歩いてみよ…………いってぇ!?おい!何すんだ!?誰だ!!」

「キーーー!キキーーーーーーッ!!」

「ワンッ!!ワンワンッ!!グルルルルルル…」

 え…鳥と犬?何?え、どこ県?人間じゃないの?まさか人間以外にもいんの?え?

「…てかやめろ!つつくな!噛むな!!」

 めっちゃ噛んでくる。めっちゃつついてくる。うぜぇ…私が何したってんだ……!

「おいこら。女性だからって興奮しねーの。あっ、こらっ!!やめなさーいやめられーッ!」

 前に現れたのは茶髪で眼鏡をしてて右目を前髪で隠してる(厨二病みたいな)奴だった。

「ぎゃあぁぁああ!どうにかしろっ!!早く!」

「おい犬!やめろ!女性いじめたらダメおえんで!?」


3分後…………………


「……わりいなぁー…周り歩いとったら急にどっかにすっ飛んでいくもんじゃけぇ…追いかけてみたら…」

「いや、別に良いんだけど…まさか岡山、私の事殺そうとしとったんじゃあ…」

「別に、初めて会った人間を殺そうとするほど俺も凶暴じゃねえよ。それにこいつらも、俺の意思で操っとる訳じゃねえんじゃし…」

 ふと隣を見ると、可愛い姿で寝る犬。なんだ。遊んでほしかっただけだったのか?

「…それにしても。急にこねーなん、驚くよねぇ…昨日まで土地だったんよ?土地がよ?こねーな人間様の姿なって…」

「ねえ、岡山。そもそも私が誰か分かっとる?私は岡山特有の方言でだいたい分かったけど…」

「……………」

 岡山は少し下を向いて難しげな顔をする。ああ。やっぱり分かってないじゃナイカ。

「……まあまあ!しゃーない…私は山口。」

「…!!山口かぁ!ごーめんごめん!分からんかったわー…山口の武器はどねーなん?」

「え?これだけど?ふく!美味しそーじゃろっ!」

「……どねーして攻撃するん?」

「生だけど食わせる!」

「……怖いきょーてーなぁ…殺す気?」

 岡山は戸惑いの表情を浮かべた。そりゃそうだ。毒を人に食わせて殺そうとしてる奴が隣に居るんだから。

「…でも。分からん事だらけじゃね…今のところ攻撃してくるような人はあんま居なさそう…ではある」

「そうだな…なあ、誰か探してみないか?他の都道府県も居るって事だろ?」

「……うん。そうしよ。」







「うーーん。今のところ平和過ぎて面白くないですね。」

「おもんないて…まだ岡山口しか見とらんやんけ…それに、道府県同士で争っとるとこ見てもウチはちっともおもんないで」

「…まあ、ここからですかね♪」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

47都道府県、世界的な知名度を直前にした戦争勃発。 猫田 @kantory-nekota

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ