紫髪の少女

「…ふぁ~あ…………え?ここどこ?」

 少女は自身の紫に光る長い髪を揺らしながら辺りを見渡す。一面真っ白い壁と床。そしてタンスの上に置かれた可愛い人形やスケッチブック。

 そして自分のベッドを確認する。

「……!?なっ、何これ!?」

 目も完全に覚めるほどの勢いで少女は飛び起きた。

「手がある…足がある…髪もある……!!」

 そう、少女の正体は人間ではなく人口約96万人、竿燈祭りが有名な秋田県だった。秋田県と言えど、もちろん人ではなく土地だ。少女の姿などしているはずがない。

「…ハッ!」

 彼女は自分の右耳にイヤホンが装着されている事に気付いた。声が聞こえ出したからだ。

『ええー、皆さん全員起きたようなので説明を始めます。おはようございます!東京です。早く起きた人は部屋にあるもので時間を潰していた事でしょう。


 まず、貴方たちのその姿。誰もが大変驚いたんじゃないでしょうか?それはそうですよね、貴方たちは土地。人間の姿などしているはずがないのです。まあ犯人は私なんですけどね。その姿は私が貴方達のイメージでつくりあげた姿です。

 次に、この世界についてですね。ここは私が創り上げた世界。今から貴方達にはゲームをしていただきます!貴方達には、それぞれ特徴がありますよね?その特徴を踏まえた武器を用意してあります。ベッドの隣に置いてありますよ』

 と、彼女がふとベッドの横を見ると、そこには……大きなきりたんぽがあった。

(……え?は?どゆこと?きりたんぽで戦うの?どうやって?てか誰と?)

『……おっと、どうやって使って良いのか分からないような顔をしている方が結構いますね。』

 (……ということは私達は監視されてるの…?それにその言い方だと人数もかなり居そう…)

『使い方は自由です(*^^*)自分で考えてください』

 (…えぇ?自由って言われても…きりたんぽどうやって武器にすりゃ良いの?)

『…最後にルール説明です。これからは自分以外の都道府県と争っていただきます。このゲームに勝ち残れるのは最大で2人。

 勝った人には世界的な知名度と賞金が与えられますが、2人で勝った場合は知名度も賞金も半分半分になります。それでも良ければ2人で勝ってください。もし、半分は嫌だと言う人が居れば、それは1人で勝ち進めて構いません。

 対して、負けてしまった方々には罰金を払っていただきます。何、超高額と言うわけではないので安心してください

 ちなみに、私東京と大阪さんは管理席におりますので今回のゲームには参加できません。

 さて、どうやったら負けになるのかというと、外に出たら貴方たちの手首にある腕時計型のHP表示機器が機能します。画面に軽く触れただけで自分のHPが見れますよ。そのHP…つまり体力のゲージが無くなると終わりです。


…さて、長々と説明してしまいましたね。皆さん、今こそ争いの時です!』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る