317球目 スコップとシャベルの違いがわからない

※今回は兵庫連合の宮田みやた洋子ひろこ視点です。



 私がスポドリをクーラーボックスにら、東代とうだいが私を指差して「アウト!」と叫んできた。



「なっ? どうしたんだよ?」


「カンサイでは、物を入れることをと言います。バットしかし、カントーは、ではなく、ユーズ使うです。カナガワ神奈川ピーポーのミスター・ミズミヤなら、キャントアンダースタン理解不可能です」



 えええ? って、全国共通違うん? いや、でも、私は事前に水宮君のことを調べてきた。これぐらいのピンチ、切り抜けたる!



「い、嫌だなぁ、東代とうだい君。俺の母さんは関西人やから、よくと言われてんだよ」



 東代とうだいはモノクルをかけ直して、さらに追い打ちをかける。



「ウェル……、ミスター・ミズミヤは覚えていますか、私とのファースト・コンタクトを。あの時、ユーのストレートを私は――」


「ああ、そうそう! めっちゃ振り遅れてたな、東代とうだい君!」


「ツーアウト! 私はミスター・ミズミヤのストレートをヒッティングしました(https://kakuyomu.jp/works/1177354054895930927/episodes/1177354054896072037)」



 ことごとく裏目に出てしまう。何とか言い逃れないと。



「ごめん。最近の俺、忘れっぽくてさぁ。アハハハハハ」



 私は頭をかいて笑うが、東代とうだいは監督に面と向かってこう言う。



「カントク、このミズミヤはフェイク偽物です!」


「あら、そうなん? ほな、これ食べてもらって」



 浜甲はまこうの監督がおにぎりを差し出してきた。何かよくわからんけど、食べなきゃ怪しまれるので、恐る恐る口へ運ぶ。


 

 口の中で米粒がバラバラになり、具のキムチの辛さが充満した。



「かっ、かっらー! 何やし、これっ!」


「スリーアウト! チューズデー火曜日のトレーニング(https://kakuyomu.jp/works/1177354054895930927/episodes/1177354054898473218)で、ミスター・ミズミヤはスパイシー辛いなフードに慣れています。ユーはミズミヤじゃありません!」


東代とうだい、どういうこっちゃ?」



 コワモテの顧問に、東代とうだいが英語交じりの推理を披露する。私が水宮みずみやとぶつかって、精神を入れ替わったことを見抜いていた。東代とうだい、恐ろしい奴……!



 こうして、私は誰ともぶつからないよう、ロープで縛られてしまった。



 その間、山科やましながセンターオーバーの打球を飛ばす。2塁を蹴って3塁へ、タイミングはアウトだけど、私(水宮)の甘いタッチでセーフになってしまう。次の番馬ばんばがツーベースヒットを打ち、1点返される。



 さらに、烏丸からすまの送りバントを瀧口たきぐち君がお手玉して、1死1・3塁になってしまう。もう見てられへんっ!!



(続く)

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