転生幼女は魔王を目指す

saida-tyan

第1話

─────私は小さい頃から、何処にも居場所がない疎外感を感じていた。



両親が居ない訳でも、暴力をうけている訳でもない。でも【自分を偽って】生活していた。



『本当は外で遊びたい。でも勉強をした方がいいのかな……………』



『本当はあんまりお金がないから、カラオケなんて行きたくない。でもそれを言ったら、友達は居なくなるのかな……………』



そんなことを考えながら生きていると、ふと自分は誰なのか分からなくなる時がある。



なんでこんなに自分を偽ってるんだろう。やりたくないことばかりやって、行きたくないところにばかり行って。こんなの、私じゃない。



あぁ。もっと自由な世界に行きたい。自由なところで、自分の好きなことをやりたい。



─────────そんな事を考えていたある日、私は学校の図書館で不思議な本を見つけた。



【異世界転生】の本。すごく長い小説だけど、それ以上に興味が湧いて、毎日そこに通っては同じ本を読み続けた。



───────【1年後】



「…………お、終わった。」



やっと本を読み終わった。ほぼ毎日読んでいたのに、こんなに時間がかかるなんて。……………………でも、、、正直終わってほしくなかったなぁ。



毎日これを楽しみに生きてきたのに、これからどうしよう。ここにはこれ以上興味をそそる本は置いてない。



「…………………ん?なにこれ。【あとがき?】………あぁ。作者の想いとかが書いてあるところだっけ。



楽しませてもらったし、もしかしたらこの人の別の本が乗ってるかもしれない。見てみるか。



【…………………この本を見てくれてありがとう。とてもとても長い本、すべて読んでくれた君に誠意をはらおう。



お礼と言ってはなんだが、ここに、異世界への転生の仕方をのせておこう。なあに、簡単な話だよ。この魔方陣に手をかざすだけでいいんだ。



ただし、すぐに決めてはいけない。なぜなら、あちらへ行ったら、【もう2度とこちらへは戻ってこられない】からだ。



この世界での大事なものと、あちらの世界への期待を天秤にかけ、よーく考えてみてほしい。──────モストア・ロウ 】



……………………これ、本当なのかな?でもこの魔方陣、すごくリアルだ……………。【天秤にかける】か。そんなの、異世界の方がダントツで上、だけど。



でも……………すごく不安だ。誰も、何も分からない世界で生きていくって考えると…………こんな臆病な私が、出来るだろうか。



──────────ううん。今日は一旦帰って寝よう。また明日考えて、決めればいい。



私はその本を元あった場所に戻し、図書館を後にした。



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