AIでも恋をしていいですか

河野章

AIでも恋をしていいですか

 この世界ではAIロボットと人間がごく当たり前のように生活していた。

 コンビニやスーパーにはAI専用のオイルや食品が並び、子供が出来ない世帯はAIの子を受け取る。誕生日ごとに肉体を変えて成長していく様を見るのが普通だった。

 成長するごとにその環境によって性格や心情、言葉を覚えるが、人間と同等であってもAIであることには変わりがない。

 人間との違いは、左手の甲に刻まれたバーコードのような認識標だった。

 だが、それは『そういう区別』であって差別でもなんでもない。

 同じように学校に通い、成長をするAIもあれば、成人してから生まれるAIもいる。ただ人間と共に成長されたAIのほうが心理的に豊かになると言われているデータが存在する程度だ。

 天瀬は商社で働く二十六歳と定められ、幼い頃に子供のいない老夫婦に育てられた。優しく穏やかな両親に恵まれた教育を受け、毎年の誕生日には肉体の成長をした。

 髪の色や肉体の好みは親の好みにもよるが、天瀬は整った黒髪の短髪と、すっきりとした肉体で華美なところもなく、老いた夫婦の好みに寄り添っていたものになっていた。

 天瀬は毎朝決まった時間に出社する。住んでいるのは会社が用意してくれた寮だ。

 AIは生活が省スペースでも窮屈に感じない。部屋はベッドとちょっとした机のスペース分しかない1Kの造りになっていた。

 今日も8時10分前に天瀬は部屋を出る。するとガチャリガチャリと、次々に寮の扉が開いた。ここに入寮しているAIロボットが全員出社しようと扉を開けたためだ。

 天瀬はすぐに左隣の部屋を見た。

 同じように出社しようとしている同僚、野上梓が手の甲の認識標で施錠をしようとしているところだった。

「おはよう」

 こちらに気づいて微笑む野上は同僚で、友人だ。新人のAI研修で一緒になってから付き合いが続いていた。

 野上とは違い、両親はおらずAI専門の施設育ち。18歳で今の25歳程度に見えるボディを与えられて、それからずっと身体は更新されていないらしい。

 皮膚には細かな傷や怪我などがあり、天瀬よりもより人間らしく見えるが、本人はそれをAIらしくないと少し恥じているようだった。

 汎用ボディに薄茶の髪、陶器のような肌。小奇麗で小作りな顔。体格は成人男性のそれと同じくらいだが、天瀬からすると少しだけ低く感じた。

「おはよう」

 天瀬も微笑んで、野上に返す。挨拶は人間関係を円滑に進めるマナーだ。

 だが最近、なぜだかそのマナーである筈の挨拶を野上にするときだけは、天瀬は顔を直視できないのだった。

 AIはまず、マナーを学ぶ。どうすれば非常識でないのか、どうすればより人間的であるかということを。

 学校や会社に通うこともその一環であり、社会福祉にも繋がっていた。子供が離れた老人家族と時間を共にしたり、比較的長時間な労働にも耐えられる。だが、度を越したものにはAI管理法で会社や家庭は罰せられたりもしていた。

「今日は少し残業がありそうですね」

 野上の笑みに天瀬は軽く頷く。

 覚えたことのない感情を、なぜか野上に覚えてしまう。左手に認識標のある同じAIだというのに違和感がある。それがなになのかは分からない。

「早く終わればいいんですけれどね」

 屈託なく微笑む野上は手の甲にあるバーコードで部屋のドアをロックすると、スーツ姿で玄関へと向かう。

 施設育ちという話は聞いていたが、少し傷の残る皮膚が微かに見える。政府からの支援ではそこまでの援助しきれないのだろう。老いた両親が自分に施してくれている暖かさを天瀬は身を持って感じるしかない。

「ちゃんと食事はしてるのか」

 天瀬の言葉に野上は振り向き頷くと、大丈夫だというように手を振って笑みを見せた。

「普通の食事でも、AI用のオイルでも僕たちは死なないだろう?」

「でも統計では普通の食事のほうがいいとでているが」

「……んー……でも僕がいなくなっても泣く人はいないから」

 無邪気に笑うその顔に、なぜか天瀬はギュッと胸が締め付けられた。

(何だろう、この胸の締め付けられるような感覚は……)

 野上の笑顔を見るたびに、ほんの少しの自分との差異を見つける度に、胸の辺りが痛い。

そこには人間と違って臓器など何もないというのに、一体どうして……と思う。

「そんなことはない、だろう。少なくとも俺は──悲しい」

 つい、そう言ってしまった。野上は目を見開いてから、微笑んだ。

「そう言ってもらえるだけで嬉しいよ」

 今のは世辞だろうか、それとも本音だろうか。

 天瀬は野上の微笑む唇と、細められる目から目が離せない。

「本気だぞ」

 少し怒ったような声を出してみる。

 そこは玄関をちょうど出たところで、数人のAIの同様たちがちらりと二人を見て過ぎ去っていった。少し声が大きかったらしい。

 どうも、天瀬は野上のことになると我を忘れてしまうのだった。

 天瀬は仕方なく咳払いをして、ごまかす。野上は不思議そうな顔をしてこちらを見上げていた。

「びっくりした……けど、本当に大丈夫だよ。身体には気をつけてる」

 さあ、出社しようと野上はいつものように人並みへと紛れようとする。天瀬はそれを半場追いかけるようにして足を早めた。

 

 その日の仕事はやはり残業だった。

 人間たちが帰った社内で、AI社員たちが席にずらりと座り書類を作成したり、相手方と連絡を取ったりしている。

 その中でも、天瀬は一番に仕事を終えた。それでも夜の9時を回っていた。

 そわそわと天瀬は野上の姿を探した。いた。パソコンに自身を接続し、一心に書類を作成している。まだ終わらないのだろうか。

 天瀬は同僚達の間をすり抜けて野上の席へと近寄った。

「野上──」

 近寄り声をかけると、ちょうど野上の手が止まった。

「ふう……終わりだ。何、天瀬」

「いや……」

 なんで声を書けたのか自分でも分からない。ここで一番良い返事は何だろうと逆に考え出してしまう始末だ。

「一緒に、帰らないか……と思って……」

 声は自然と小さくなっていった。これでは友達を誘う小学生のようなものだ。

 自身の行動の分からなさに、天瀬は頭を抱えそうになった。

「ああ、いま僕も書類が終わったところだから」

「……やっぱり残業だったな」

「嫌な予感が当たったよね」

 朗らかに笑いながら鞄に書類を詰め込み、デスクの引き出しを開いてAI用のオイルのパッケージを取り出す仕草に天瀬が思わずその手首を掴む。

「晩飯食べに、どこか行かないか」

「……えっ、あ……うん……」

 突然の言葉に野上の手は止まり、天瀬の顔を見上げる。

 お互いに暫く顔を見つめ合ったあと、掴まれていた手首が離され野上は少し困ったように微笑んだ。AIという整った顔立ち。やはり人間とは違う出で立ち。なによりも、その左手にある認識評。

 食事の美味い、不味いもAIは訓練と感性で培う。施設育ちの野上にはその感性が乏しいと言わざるを得なかった。

「顔色が悪い。俺たちはオイルだけでも生きていけるが──」

 天瀬はそこまで言って、言葉を続けられなくなった。

 AIとして生きてきたことを後悔や蔑みとして感じたことはない。だが、母親に抱かれた温もりや、父親と一緒に遊んだ思い出は人間と同じものだと思っていた。

「なにが食べたい?」

 わざとつっけんどんに天瀬が尋ねる。

 引き出しにオイルを戻した野上が少し首を傾げてから、笑みを浮かべた。

「ラーメン」

「そ、そんなのでいいのか」

「好きなんだよね、ラーメン。天瀬の奢り?」

 どこか子供っぽく微笑んでみせる野上につられるように天瀬も笑う。

「俺が誘ったんだからラーメンぐらい奢ってやるよ」

「ラッキー」

 もうすっかり夜が更けた街へと二人はのんびりとした足取りで繰り出して行った。


 こぢんまりとした駅前のラーメン店へと二人は入った。

 常連らしい客でいっぱいで、手の甲を見る限りで人間もAIも入り混じっている。二人はカウンター席へと通された。

 二人は迷わずに言った。

「とんこつラーメンと」

「醤油ラーメン、で」

 先に天瀬が、続けて野上が店主へと伝える。お互いの趣味の違いに思わず顔を見合わせてふふっと笑い合う。

 二人で食事を取るのは久しぶりだった。

 すぐに丼ぶりが二つ運ばれてくる。野上は嬉しそうにネギをたっぷりと追加し、混ぜ込んで豪快にすする。天瀬が思いもよらぬ良い食べっぷりだった。

「本当に、好きなんだな」

 横でちらりと野上を見ると美味そうに、喉を鳴らして食べている。

「うん。どうしてもオイルのが手軽で、手頃だから……こうやって食べると実際の食事の方が美味い気がするな」

「だろう? ──良かったらまた、時々こうやって一緒に食わないか?」

 少し迷ったが、天瀬は誘ってみた。豪快に、だが綺麗に皿を空けていく野上の様子を見るのは痛快だった。できれば今度は正面で、その様子を見て見たかった。

「良いけど……お前、何かあったか?」

 何の疑いもなく頷いた野上が、付け加えるようにやや心配げに眉を寄せた。

 天瀬は一瞬ドキリとして自身の丼ぶりの中身へと目を移した。

 食っているお前の姿を見ていたいなんてとても言える雰囲気ではない。仕方なく、何事もなかったように首を振る。

「いや、別に。ちょっとお前の食生活が心配になっただけだ」

「ふうん?」

 野上が食べ終えた箸を手に首を傾げる。スープまで綺麗に平らげて、ごちそうさまと野上は店主へ丼ぶりを返した。

 天瀬も勢い、野上に追いつくようにスープを飲み干し、勘定、と店主へお願いする。

「ああ、美味かった」

 店を出て、第一声に野上が暗い夜空へと声を放った。らしくない行動だったが気持ちは分かった。少し肌寒い夜に、暖かいラーメンをすすって腹一杯で店を出る幸福。

 同じ感動だろうかと天瀬は少し嬉しかった。

「美味かったな、確かに」

「天瀬の奢りで余計に美味かった……です」

 小さく笑みを浮かべて野上が言ってくる。冗談だろうが、そんなふうに言われると思わなかったので驚いた。

(あの野上が、冗談を俺に……?)

 何だか特別なように思えて、天瀬は思わず笑みを浮かべた。

「僕がAI施設育ちって言いましたっけ。この身体も国から貰ったものなんですよ」

 珍しい話ではなかったが、天瀬は自分の恵まれた環境で育ったことに僅かに頷くことしか出来なかった。

「給食でラーメンが出る日がたまにあって、それからラーメンが大好きで」

「ラーメンぐらい給料でいくらでも食えるだろ」

「あー……食べられるんだけど、施設に仕送りとかしてるんで、なんとなく節約生活」

 そう言って笑ってみせる野上の屈託のない笑み。

 いまの会社は給料も良く、AIの身体の改造も保険で出来る。

「ごちそーさまでした!」

 手にした鞄をぐるぐると子供のように振り回しながら、天瀬に頭を下げた野上の首筋はAI独特の皮膚のささくれが見えていた。

 陶磁のように美しく作られたAIの肌。それなのに酷使されたせいで崩れ始めている。

 年齢のわりには一回り小さいボディも修正していないのだろう。

「……自分の身体のことをもっと……」

 そう言いかけてその続きの言葉を天瀬は飲み込んだ。

「天瀬は優しいなぁ。優しいって意味が僕にはまだいまいち分からないんだけど」

 その言葉に何も返せず黙り込む。

 優しいというのはどういうことなのだろうか。そんなことを天瀬自身も教わったことがない。ただ両親から勉強しただけだった。

 けれど両親には感謝している。好きだと思う感情もある。

 ──でも、両親に感じる好きと野上に感じる思いとはどこか違う。

 両親と話す時はどこか、優しさや気遣いを演じている感じが天瀬にはある。

 恩ある、好きな両親にはこう動くべきというような、規範のようなもの。それが感情だと今までは思っていた。

 けれど、野上に感じるこれは、胸の奥から湧き上がってくる『思い』は……。

 優しくしたい、心配だ、気になる──ぐちゃぐちゃとした混沌とした思い。

 もしこれが感情なのだとしたら、何と複雑なんだろう。

「どうした?」

 黙り込んでしまった天瀬を振り返り、首を傾げる野上の頬に街頭の青っぽい光が当たる。

 野上の肌が一層青白く儚く見えて、つい天瀬は手を伸ばした。

 腕を掴む。

 認識標がある左手の手のひら同士をひたりと当てる。

 AIも同士はこうすることでお互いの基本的な情報を共有できた。野上は反論も抵抗もしなかった。

「ほら、少し熱もある……体調には本当に気をつけろよ」

「そう? けど、さっき言ったとおり僕はあんまり自分のことは」

「俺が、心配なんだよ」

 手を当てたまま、遮るように天瀬は言った。何故か顔に熱が集まってくる気配がする。

 真っ直ぐに野上の顔を見ているが、どういう表情をしたら良いかが分からない。

 結局、無愛想な無表情で言い切ってしまった。

「変だよ、天瀬。まるで……人間みたいだ」

 単純に疑問だというふうに、すっと野上が手を引いた。

 熱っぽかった指先の感覚が急に失われて、天瀬は戸惑う。引き留めようと伸ばしかけた手を、野上の一言で思いとどまった。

「確かに、俺は今……変なのかもしれない」

 情けない声が自然と漏れた。『感情』を持て余していた。

 そして感情を『行動』に移すことが出来ない。それは何だか切ない気持ちだった。

「天瀬こそ、一度点検したほうが良いよ」

 無邪気に笑って、野上が寮への道を先に行く。それを止めることが出来ずに、天瀬は彼の後ろをついて帰った。

「天瀬、珈琲飲む? 貰ったんだけど僕はあんまり飲まないから余っちゃてて」

「嫌いなのか?」

「特別なもの以外嫌いとか好きとかそういうのあんまり分からないから」

 野上は無邪気な子供のようにも見える。嘘がなく、屈託がない。

 同じAIをそう思ってしまう自分がおかしいのだろうかと、寮の道へと先に歩く野上の後ろ姿を見つめながら感じる。少し細い肩や手首、AIだからこその皮膚のささくれ。感情の過不足。

「野上」

「ん?」

「恋、したことあるか?」

 なぜそんな問いかけをしたのか天瀬自身も分からない。むしろ天瀬も恋の経験などなかった。

「あるわけないだろ、俺たちAIなんだし」

 身体はほぼ人間と同じに作られていた。AIとの結婚も認められている。だがメンタル的に成熟していないAIに恋愛という感情を持つものは難しい。

「天瀬は珈琲にミルクや砂糖を入れるほう? 僕はよく分からないからそのまま飲んでるんだけど。いるならそこのコンビニで買ってくるし」

「俺も何も入れないから大丈夫だ」

「ってか、恋とか急になに?」

 振り向いたその野上の横顔が綺麗だと天瀬は思った。

 AIらしい整った顔立ちだが、左手の認識評さえなければ表情が豊かな人間と思えるほどに。それは野上がいままでの人生で培ってきた性格なのだろう。

「恋、してみたくないかと思って」

 天瀬の言葉に野上は立ち止まり、振り返る。

「だってAIの恋愛なんて不毛じゃない?」

 野上の返事に天瀬は立ち止まってしまう。

 確かにそうだ。AIでしかも男同士──。

(男同士……?)

 自然と自分と野上とで考えていた自分に天瀬は愕然とする。

 天瀬は口に手を当てた。

 信じられない。

 今自分は、野上をそういう目で見ていたのだ。

 AI同士での恋愛や結婚は確かに数は少ないが存在する。けれど、そこでも基本は男女でそれらは行われていた。男同士だなんて聞いたことがない。

「天瀬?」

 気づけば、野上が目の前に来ていた。

「お前、本当にどこかおかしいんじゃないか?」

 心配げな表情。

 野上は手を差し出して左手同士を重ね合わそうとする。異常に見える天瀬の様子を探ろうというらしい。

(この気持ちを……野上に悟られたくない)

 天瀬は手を引いた。

 それに野上はひどく驚いたらしい。

 確かに、他のAIと簡単に感情のやり取りが出来、自分では分からない異常に気づくのに友好なこの手段を避けるAIなど滅多にいない。

 自分の感情を他者に悟られたくななんて、人間以外何ものでもないからだ。

「天瀬……」

 野上は明らかに傷ついた表情をしていた。手を合わせることを拒否した天瀬から、自身をも拒否されたと思ったらしい。

「すまない、俺が……気づかない間になにかしたんだろう?」

「いや、違うんだ」

 頭を下げようとする野上に、思わず天瀬はその腕を握った。

 ──なぜ、そういう衝動に襲われたのか、自分でも分からなかった。

 掴んだ野上の腕を引き寄せ、その細い身体を抱きしめる。野上が驚いているのは分かったが、そのまま強引に唇を重ね合わせた。

 寮の前の道路。ロマンチックさとは程遠い。しかもAIの男同士。

「な、なにしてるんだよ、天瀬──」

 その言葉の続きを封じるように再び唇を塞ぐ。首筋に手を添わせて、傷んだその皮膚を撫でる。

 ──もっと自分を大切にしてくれないんだ。

 こんな感情は初めてだった。

 唇を重ねながらも驚いた表情で瞬きしている野上が可愛かった。

 両親に仕送りをしているが、貯金もある。野上の肌のメンテナンスをしたいと不意に思う。

「……っん、急になんだよ、天瀬……」

「こんなことされて、なにも感じないのか」

「……少しは……」

「少しは?」

 問い詰めるようなことはしたくなかったが、僅かに潤んだような瞳と、お互いの唾液で濡れた唇が色っぽかった。

「こんな気持ち……知らない」

 小さく囁かれた野上の言葉に、抱きしめる腕の力が強くなる。

 その昔、道路の片隅に捨てられていた子猫を愛しいと思ったような感情に似ていた。ただ可愛くて、優しくそっと触れていてあげたくて、ずっと側に居たい気持ち。

「俺も、知らない。でも、なにか分かりそうな気がする」

 天瀬の声に唇を僅かに離した野上が顔を上げる。

「俺……野上のこと好きかもしれない。初めての感情だけど」

 吐息が掛かる距離で天瀬が囁く。

 それに応えるように野上も呟いた。

「……僕もこの感情がなんなのか分からないけど、すごくドキドキしてる」

 何度も、何度もキスを続けたかった。天瀬もまた心臓の鼓動が止まらない。

「──このドキドキの理由を知りたいんだけど」

 野上が赤く頬を染めながら顔を俯かせる。背に廻した腕に力を込めながら天瀬は頷きを返した。

「部屋に戻って珈琲を飲みながら、キスの続きをして考えようか」

 ──AIの恋は難しい。キスから始まる恋もある。



【end】

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