甦ら
息苦しく残った時代の香りには、錆が半世紀前から混ざっている。忘れられた想いは集い、古の教えは多く流れ偲ばれた。
汗の寒さが来る。老いと病いを恐れた夜長の気分は、何者にもならずに影として消えていった。花を絶やした庭先に、障子で霞む灯籠の輪郭が、砂を崩すように明滅する。針を磨り潰す喉の奥は、底へ繋ぐ縄が肉へ変わる黄色い液に汚れつづけた。
骨に染み込む雨は去り、ただ月だけが残る空。痛めた身体と微かな熱に倒れると、柳は風を押して私を襲う。布で隠した籠の中では、小鳥が小さく鳴いていた。
記憶の散乱 フラワー @garo5
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます