第14話
薄藍に包まれた山中を、夜の生き物が
渇いた血が残る大きな布の
塊がもぞりと動いた。
「つち」
起きたか、と問う声音は穏やかだ。
「もぐってろ。すぐ
「おい、よせったら」
強めに
「……加減が分からないなあ。私は”子”をこさえるのは初めてなんだ」
このひとは、どうしてこんなに悲しげなんだろう。
「ごめんな」
独り言のような呟き。
「ほんとうは、お前のともだちになりたかったんだ。ただのともだちに」
それがもう決して叶わないと、知っている声だった。
何か、慰めめいた言葉を口にしようとして、
どうしてだろう。辺りは明るくなり始めているのに、夜は明け始めているのに、自分の目はどんどん
さっきから ”どうして”ばかりだ――そう思うと、我ながら
「お前に名前をつけないといけないね」
明るくて
「――
「なに?」
「名前を、頂けるなら、
ぶはっと吹き出すような声が振ってきた。
「
ああ、良かった。
そうして、かつて
―終―
無限の月 ランバージャック @tank1123
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