秋に歌う夕焼け小焼け
ひりひり痛むひざ小僧を
動かさないようにそっと引きずる左足
ひとりぽっちの帰り道
だけどもっと痛いのは、ささくれだって
むきだしの心
練習がうまくいかなくて、校庭で転んじゃったこととか
白い体操服が砂まみれになっちゃったことは
ほんとにどうでもよくて
ただ、あんなこと言うつもりなんてどこにもなかったのに
君が、あんまりにもまっすぐだから
いやなやつが不意に頭を出して
ぺしゃんこにしてやりたくなったんだ
傷ついたのは君のはずなのに、おかしいね
バイキンみたいなツノつけた私の方が
よっぽどじゅくじゅくしてるなんて
落ち葉はこんなに軽やかに風とステップを
踏んで
私の足元を駆けていくのに
ねえ、楽しくないんだ
楽しくないんだ
夕陽に照らされた君の長い影がいない
居残り練習は
君がいない帰り道は
分け合う肉まんのあたたかさのない指先は
1人で見上げる夕焼け空は
素直におなりよと、どこからかキンモクセイが優しく語りかける
甘い、だいだい色の、秋のにおいだ
胸いっぱいに吸い込むと、泣きたくなった
燃える夕陽に、あたたかそうなひつじ雲
冷たく暗くのびる影、
スカートを揺らす刺すような木枯らし
明日こそは、と思いながら口ずさんだ
夕焼け小焼け
さらさらと、枕草子 みおつくしのしずく @PedroSanchez
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