第三十話 ギルド長からの依頼と計画

四ヶ月ぶりの更新です。大変長らくお待たせいたしました。



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ギルド職員についていき、昇降版を登って物音が一切聞こえない最上階の部屋へと案内された。広場と違い、地面は磨かれた石でできていて高級感がある雰囲気を出している。


そこで机に向かって書類を書いていた人と目があった。


顔に一文字に入った切り口が特徴的な顔をしている。それで何かの理由で目が潰れたのか右目に小さな竜の刺繍が入った黒の眼帯をしていた。


再度書類に目を通した後、大きなため息をつき自分たちを部屋にあるソファーに座るよう手で促してきた。


その対面にその人が座ると柔らかい笑み位を浮かべこちらの緊張を紛らわすように軽く笑う。

見た目が完全にヤンの人のボスで、凄みを放っているがこちらが思っているよりも優しい人らしい。


「そんなに緊張せんでもいいぞ、名前はライア王都冒険者ギルドのマスターをしている。それでこの人らが例の新しく最短記録を更新したというパーティーの人かね?」


「はい、マスターから見て『TRRP攻略組』と言うパーティーの右から、グレイ、ミレイとなっています」


ギルドマスターの隣に控えていたギルド職員がそう言った後、何か悩む素振りを見せ顎に指をつけ幾分か考えた後顔をあげる。


「やはりそうか待っていたよ。最短記録おめでとう。実に三十年ぶりの更新だ。誇りに思っていいぞ」


そう言って自分たち二人に職員の方とギルド長が拍手を送ってくれた。本当に嬉しそうに笑っている。

そして拍手を終えると真剣な顔を作って話し始めた。


「ここに呼んだのは他でもない。君たちに頼みたいことがあったからだ。端的に言うとだ、君たちには他のパーティーと手を組んで、最近出没したあるダンジョンの内部捜索をして欲しい」


やっぱりそうだ。それにしては緊急っぽいが自分たちよりも優れたチームは大量にあるけど、その中で自分たちを選ぶ理由はなんだろうか


「捜索ですか。他のと特になにか変わっているのでしょうか」


「うむ。ダンジョンは自然発生するものだからな、いつもならば新しく出現したものは『ランナー』というダンジョン踏破が得意なトップパーティーたちに任せるのだが、今回そのパーティーが一つ行方不明になったのだよ」


それは...結構な重大問題だよな。冒険者たちにはあまり伝わってないけどバレた時に少しあれるんじゃないか?


「それは...まあまあの緊急事態ですね...つまり私たちはその人たちの捜索兼救助を行えばいいのですか?」


「その通りだ。無論、援助は必要な分だけつける。それでもダメだと言うならば仕方ないが」


「僕たち以外にも有能な方達がいると思うんですが、その人たちに依頼すると言うのはダメだったんでしょうか」


「運悪いことに他のランナーたちは既に他のダンジョンに行っていて出払っているのだよ。現状で使える者と言うと君達しかいないと思ったのだ。なにせ、先の宴で皆酔い潰れているだろうしな」


確かにそうだ。でもここできめるのはまだ早いよな、後でチーム全員と話し合わないと。とりあえず修哉の意見を聞こう


「...どう思う?」


「そうだな...俺はいいと思うが、ここで決めるのは些か早いんじゃないか」


「やっぱりそうだよな、情報が少なすぎる」


ダンジョン自体の難易度もそうだが、構造もうまくわかっていない今、対策法もあまり思いつかない。となると満遍なく対応できる策しかないが...


「ギルド長、そのパーティーの人は消息を絶ってからどれくらい経ちましたか?」


「だいたい一週間くらいだ」


「...わかりました、行くかどうかはまだ決めかねないです。準備があるので五日ほど頂きます、その間に現在用意できる資料をパーティー部屋に送ってください」


「...わかった助かるよ」


軽く頭を下げるギルド長に少し申し訳ないような気持ちを抱きながら部屋を出る。


「じゃあすぐ、チームメンバーに伝えてそのあと必需品の補給に行くか。 北の風フライトネスの人たちにも呼びかける」


「了解」




ギルド長の部屋を出て、自分たちのパーティー部屋に戻った後。スプラ、ハウネ、セルナの三人を呼ぶ。元々パティー人数を考慮して部屋が割り当てられるため、二人部屋のこの部屋で五人は少し狭い。


そして先程のギルマス(ギルドマスター)との話をすると、それぞれ三人とも理解は示したが、やはりパーティーのリーダーとして少し考えるところがあるのか、スプラが考えた素振りを見せた後口を開く。


「二人の言っていることはわかった。だが熟練の『ランナー』たちが行方不明になる程の難易度だ、少し俺たちには荷が重すぎるような気がする」


「それは自分とグレイも思ってるよ、何せ二つのチームが合同パーティーを組んで一月も経っていないからな。連携も今は上手くいってるとは思うが、一応ギルマスにも一時保留という形で考える時間をもらっている」


「ならいいんだが...二人はどう思う?」


「私はいいんですけど、スーの言っていることが気がかりですね」


「私も。何が起こるかわからないから熟練の人たちの援護が欲しいところ」


スー?ス...ス...ああ、スプラのことね。あだ名か。まあそんなことは置いといて


「だよなぁ...現状、不確定要素がどうしても多すぎるんだよ。そこがどうにかなればすぐに受託できるんだが...」


命の危険がある仕事。今回の場合、すでに踏破されている道を探索するわけではなく、未だ探索中の場所でさらにそれを仕事としているランナーでさえも何かミスをしてしまうという事。


個人的には戦闘力を前面に振りたいが、罠の効果が如何程のものかが分からない点が怖い。


そうなると、やはり罠探知の人員を雇うしかないな。


「...決めた。今回はいつどうなるか分からない以上前衛、後衛と、分けた時に二手に分けられると訳ないので、人員を増やして、そいつに先兵を頼むようにする。そして俺たちは塊となって動くようにしよう」


「じゃあこちらからギルマスに罠探知を専門とした人を援助として入れてもらうようにするよ。まあその作戦だと、そいつ一人だけ餌みたいになっているような気がするけど。そんな人いるかね」


「それを承知の上でやってもらうしかない。ぶっちゃければ俺たちも命が惜しいからさ」


「ははっ間違いないな」


「でも私、早く動けるから罠があっても避けれると思うんだけど。私じゃダメなの?」


手をあげてセルナがそういうがそれをスプラが手で収めた。


「セルナの普段の行動を見てると、確かに発動したところで避けれるだろうが、万が一だ。気持ちだけ受け取るよ」


「わかった。ハウネ、探査魔法覚えたら?できたらすごく負担が無くなると思うんだけど」


セルナがハウネを横目でスッと目線を向けると、彼女は首を傾げて少し苦笑した。


「うーん、そんなすぐに覚えれるかなぁ?覚えたとしてもボーション代が嵩むかさむよ?


「もし覚えれたら、グレイがハウネの前を行ってスプラとセルナで二人の背後に着こう。自分は背後からくるモンスターがいないか確認するからさ」


「魔法一つ覚えるのも一苦労なんだけどね...頑張ってみるよ」


「ごめん、苦労をかける」



その後も、陽が傾くころまで話し合い細かいところまで話し合い、誰かの腹の虫が鳴るのを区切りにお開きとなった。


三人が帰った後ですぐにギルマスに探査要員を探してもらうように言うと、もうそのことに備えて前々から決めていたらしく、明日早速顔合わせできるように取り計らってくれた。ただただ有能なことに感謝した

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TRPGプレイヤー達が、すべてがサイコロで決まる世界に転移させられたようです 羅船未草 @9273403

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