この小説を既存の小説のつもりで読み始めると大きく裏切られることになるだろう。
ここにあるのは新しいゲーム小説の可能性の姿だと私は感じた。
お断りしておくが、この作品は間違いなく小説である。
文章はしっかりしているし、内容も面白い。
ただし、文体、構成が既存の小説の枠に囚われることなく、読者を実際にゲームをしているような感覚に陥らせる。
実に面白い試みで、それだけでも先を読み進める魅力を持っているが、さらにはしっかりと多くの伏線を用意することで読者をゲーム世界へ引き留める。
先が楽しみで、いまの作風を迷うことなく維持し、完結まで駆け抜けて頂きたい期待の作品!
是非ご一読を!
中世ヨーロッパの騎士道を元にしたVRMMORPGのゲーム世界に身を置く主人公の青年ハク。
ゲームを楽しむあまり騎士団へ所属せず、自力でレベルアップをしていた彼が騎士団入団を決めるところから怒涛の物語が幕を開けます。
予想を裏切る物語運びに、最後の引きで読者を引き込み次話へつなげる手腕は、お見事。
文字でゲーム表記をあらわす表現方法も分かりやすく、ゲームをしたことのない人でも違和感なく物語に没頭できます。
無双系かと思いきや、成長するための描写もあるのが良かったです。そしてもちろんスカッとする描写もあり、読んでいて笑顔になれます。
ハクの物語から、ますます目が離せません。